機械集材装置を使用して全幹集材した伐倒木を中継土場に積み上げ中、「はい」が崩れて下敷きとなる
| 業種 | 木材伐出業 | |||||
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| 事業場規模 | 5〜15人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 機械集材装置、運材索道 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | 設計不良 | |||||
| 発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
| 発生要因(管理) | 荷等の積み過ぎ | |||||
No.100670
発生状況
この災害は、伐倒木の中継用土場において、機械集材装置を使用して集材した伐倒木を山の斜面に積み上げる作業を実施中、既に3段まで積み上げた足元の伐倒木が崩れ、作業者が巻き込まれたものである。標高370m、傾斜約35度の斜面にある中継用土場から300m離れた伐採現場では、現場責任者の作業者A 、作業者Bおよび作業者C の3名が、チェーンソーを用いての伐倒、枝払い作業を行い、その伐倒木を作業者D が機械集材装置の搬器に荷掛けを行い、中継用土場では作業者Eが機械集材装置の運転業務および伐倒木の搬器からの荷下ろし作業を行うという配置で全幹集材作業を行っていた。なお、中継用土場と伐採現場とは、互いに視認できない位置にあるので、作業者Eと他の4人との連絡手段は無線であった。
災害発生当日の午後4時30分頃、運搬してきた伐倒木(ヒノキ材、胸高直径30cm,長さ20m,重さ500kg)を、35度の斜面に30本の伐倒木を3段に積み上げている中継土場の上に下ろした。玉掛け用ワイヤロープを外そうとしていたところ、作業者Eが乗っていた足元の伐倒木が崩れ、頭から転落し、その上に伐倒木が崩れ落ちてきて、下敷きになった。
原因
この災害は、伐倒木の中継用土場において、機械集材装置を使用して集材した伐倒木を山の斜面に積み上げる作業を実施中、既に3段まで積み上げた足元の伐倒木が崩れ、作業者が巻き込まれたものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。| 1 | 林業架線作業主任者が職務を遂行していないこと 現場に不在で、安全な作業方法を決定し、作業指揮していなかった。 |
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| 2 | 伐倒木の中継用土場は急斜面で不安定な場所であったこと 荷下ろし個所である伐倒木の中継用土場は勾配が35度の急斜面であった。 |
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| 3 | 不安定な場所に積み上げていたのに、荷崩れ防止対策を十分に行っていないこと 急斜面に丸太を3段に積み上げていてるのに、ロープで固定する等荷崩れ防止対策を確実に行っていなかった。 |
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| 4 | 1人で作業させたので、伐倒木の積み上げ方が乱雑になったこと 機械集材装置の操作と荷外し作業を同一の者にさせたので、微調整しないで、あらかじめすぐ外せるようにワイヤーを緩めて「はい」に乗せてしまうので、整然と乗せられず、乱雑に積み上がった。 |
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対策
この災害は、伐倒木の中継用土場において、機械集材装置を使用して集材した伐倒木を山の斜面に積み上げる作業を実施中、既に3段まで積み上げた足元の伐倒木が崩れ、それに巻き込まれたものであるが、同種災害の防止のためには、つぎのような対策の徹底が必要と考えられる。| 1 | 林業架線作業主任者を選任し、安全管理を徹底すること 林業架線作業主任者に、その職務である林業架線作業の安全な作業方法の決定、作業の直接指揮を行わせる。 |
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| 2 | 伐倒木の中継用土場は勾配がなく安定した個所に設置すること 土場は水平な場所に設置する。どうしても勾配のある場所に設置するときは、片桟橋などを設けて、水平な場所にする。 |
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| 3 | 荷崩れを防止する措置を講じること 長尺物で扱いにくいので、伐倒木をロープなどで緊結するなどの「はい」崩れ防止措置を講じる。 |
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| 4 | 2人以上の作業とすること 機械集材装置の操作と荷はずし作業を別の作業者に行わせ、伐倒木が安全に「はい」に乗るのを確認しながら、徐々に下ろすことができるような共同作業をおこなわせる。 |
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厚生労働省