車庫の解体作業中にはしごから墜落
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | はしご等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | はしごから墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100629
発生状況
この災害は、鉄骨平屋建て車庫の解体作業中に発生したものである。災害発生当日、午前8時30分頃から事業者、被災者および同僚の3人は、前日に引き続いて鉄骨平屋建て車庫中央部の解体作業を開始して、屋根の筋かい8本、棟つなぎ梁1本、屋根梁1本、奥の中2階の梁と間柱を順次解体し、屋根面の筋かい、棟つなぎ梁、屋根梁は質量が大きかったので移動式クレーンを使って地上に降ろした。
午後5時頃、事業者が被災者に「解体に使用している内部足場の最上層の手すりが車庫屋根の梁に接触するので、手すりの位置を直してくれ」と指示した。
そこで、被災者は、2連はしご(長さ5.7m)を建物内側から足場に立て掛けて最上層に上り、手すりの位置を下にさげて固定した。
この作業が終って被災者は2連はしごを伝って地上に降り始めたが、その途中でそのはしごから土間コンクリート上に転落した。
この時、事業者は使用した移動式クレーンの収納作業を行っていたが、甲高い声がしたのでその方向を見ると被災者が落下するのが見えた。
その後、被災者を救急車で病院に収容したが、約24時間後に硬膜下血腫のため死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | はしごを急角度で立て掛けたのに固定していなかったこと 被災者が昇降用に使用した2連はしごは、かなりの急角度(75度以上)で立て掛けられていたのに、転位を防止する措置を講じていなかった。 |
2 | 被災者の健康状態が不良であったこと 被災者は、リュウマチの持病があり薬を飲み続けないと手の力がなくなると言っていたので、建屋の解体作業に続いて急角度のはしごの昇降を行ったため、手の力が弱くなっていてはしごを十分に掴むことができなかったことも考えられる。 |
3 | 作業の指揮監督が不十分であったこと 事業者は足場の手すり取付け位置の変更作業を命じたが、はしご昇降時の安全を含む墜落防止措置等について具体的な指示を行わなかった。 また、被災者の作業を監視する等の作業の指揮監督も行っていなかった。 |
4 | 事業者に安全管理についての認識が無かったこと 小規模事業場であるため、事業者自ら現場で作業を行っているにもかかわらず、安全対策は行っていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 移動はしごの安全を確保すること 移動はしごは、次の事項に適合したものを使用する。(安衛則第527条関連) |
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(1) | 丈夫な構造とすること | ||
(2) | 材料は著しい損傷、腐食等がないものとすること | ||
(3) | 幅は30cm以上とすること | ||
(4) | 滑り止め装置の取り付けその他転位を防止するために必要な措置を講ずること | ||
なお、移動はしごを立て掛けて使用するときには、メーカーが指定した角度を遵守する。 | |||
2 | 作業主任者を選任して作業を行うこと 高さが5m以上の建築物等の鉄骨解体作業を行う場合には、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の資格のある者を選任し、その者の直接指揮の下に作業を行う。(安衛則第14条、令第6関連) |
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3 | 作業者の健康状態を把握して作業を命じること 高年齢者・持病を有する者等については、常にその健康状態を把握しておき、特に墜落危険のある作業を命ずる場合には安全について十分な配慮を行う。 |
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4 | 墜落防止措置を行うこと 高所での作業を行わせる場合には、昇降時の安全を含め墜落防止措置を十分に行うとともに、作業の手順についてあらかじめ十分に教育を行う。 |