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労働災害事例

コンクリート屋根が崩れ、下敷きになる

コンクリート屋根が崩れ、下敷きになる
業種 その他の建築工事業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 屋根、はり、もや、けた、合掌
災害の種類(事故の型) 崩壊、倒壊
建設業のみ 工事の種類 その他の建築工事
災害の種類 コンクリート擁壁、レンガ等の倒壊
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 老朽、疲労、使用限界
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100626

発生状況

 この災害は、コンクリートスラブ屋根の改築工事において、ハツリ作業を行っていたコンクリートスラブ屋根が崩れ、転落した作業者が同時に落下したコンクリートの塊の下敷きになったものである。
 この工事は、空港ターミナルビルに設けられている荷捌所のビル屋外部分の屋根の改築工事を行うものであり、既設のコンクリートスラブ屋根の柱と梁を残して解体した後、新たに屋根に配筋をしてコンクリートを打設するものであった。
 災害発生当日、午後6時頃現場に到着し、既設のコンクリートスラブ屋根上にはしごを掛けて登り、電動ハンマーでハツリ作業を行うことになった。
 被災者と同僚の2人は、コンクリートスラブ屋根の西側のうち、西北部(H鋼の梁のある付近)を電動ハンマーを使ってハツリ作業を行った。
 約10分ほどで作業の目途がついたので、次に西南部(照明塔の囲いがある付近)に移動したところ、突然、被災者と同僚の足元のコンクリートスラブ屋根が崩れた。
 この屋根の崩れとともに被災者と同僚が地上(約3.3m下)に転落したが、同僚は転落後すぐにその場から離れたので無事であったが、被災者は2、3秒後に落ちてきたコンクリート塊(約1t)の下敷きになった。

原因

 その原因としては次のようなことが考えられる。
1  落下したコンクリートスラブ屋根の下に敷かれていた鋼板部分(特に西側)が著しく腐食していたこと
2  事前の解体構造物の老朽度、腐食の程度、残存危険性の予測などが不十分であったこと
 屋根の崩壊の危険性を予測して、照明灯の制御盤には、枠組足場を設置して、その制御盤の上を覆うようにコンクリートパネル板をのせて養生していた。
3  当初の施工計画で解体工法の選択や施工方法が予測と異なり、個々の作業工程、解体 手順に無理が生じていたこと
4  解体構造物の腐食の状況に応じた屋根の崩壊を防止する措置が講じられていなかったこと
5  解体計画に基づいて、必要な作業(コンクリート工作物の解体、ハツリなどの作業) を抽出し、まとまりの作業単位ごとの安全作業計画を立てていなかったこと
6  安全な作業用の足場を設置することなく、崩壊の恐れのある作業箇所に乗ってハツリ 作業を行ったこと
7  作業現場における危険箇所、危険な作業方法などについて、危険予知活動、現場の点 検活動などが行われていなかったこと
8  日頃から解体工事に係わる安全な作業方法、作業の手順、作業動作等についての安全 教育訓練を行っていなかったこと

対策

 この災害は、コンクリートスラブ屋根のハツリ作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  コンクリート構造物の解体作業を行うに当たっては、構造物の崩壊、倒壊による労働災害の防止を図るため、事前に構造物の構造、規模、形状、内外装、建設年代、建物の老朽度、残存危険物、有害物などを調査しておくこと
2  1の調査結果に基づいて、解体工法を選定し、解体要領、解体手順を定めた解体計画を作成すること
3  工事に必要な足場などの仮設設備の仕様、数量、位置等を決定しておくこと。特に、老朽化した構造物の解体に対応した足場等の作業設備を十分に検討し、準備しておくこと
4  安全な作業方法、作業手順を定めた作業計画を作成し、関係労働者に周知しておくこと
5  作業開始前の解体建物の危険箇所の点検、立入禁止等の対応策を検討しておくこと
6  労働者に対する日常の安全作業方法についての安全教育を行うこと
7  職場安全ミーティングを励行すること