単管パイプで組立ててある工場を解体作業中、単管の水平材から墜落
| 業種 | その他の建築工事業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 1~4人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 屋根、はり、もや、けた、合掌 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
| 災害の種類 | 梁、母屋から墜落 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | その他 | |||||
| 発生要因(人) | 憶測判断 | |||||
| 発生要因(管理) | 確認しないで次の動作をする | |||||
No.100624
発生状況
この災害は、単管とトタン張りの木材加工場の解体作業中に発生したものである。解体工事を行っていた工場は、単管パイプを骨組に使用し、壁と屋根にはトタン板を貼り付けたものである。工場の大きさは南北に約36m、東西に約40m、最高部の高さ約6.6mのL字型をしたものであった。
作業は、始めに、工場内に残されていた木工機械や材木の運び出しをした後、元請の作業者2名と下請の事業者を含めた3人でトタン屋根の解体作業を行った。
災害発生当日午後3時頃、作業者5人が手分けして解体作業を行ったが、工場中央境界部分の解体の補助作業を行っていた元請の作業者が高さ約3mの水平材の単管に乗り、1段上の水平材の単管に安全帯のフックを掛け移動していたところ、途中には縦にクランプで取りつけた単管パイプがあり、これを越えて移動しようとして安全帯のフックを一旦外して掛け替えようとしたとき、縦の単管に手をかけて体重をかけたため、解体するためにクランプが緩めてあったので、手をかけていた縦の単管が傾き、作業者は墜落した。
作業中の下請の事業者が背後で大きな音がしたので振り返ると、元請の作業者が地面に倒れていたので、直ぐ応急の手当てをして、救急車で病院に運んだが、10日後に死亡した。
原因
この災害は、単管とトタン張りの木材加工場の解体作業中に発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。| 1 | 単管パイプの水平材の上を移動していたとき、縦の単管パイプがあったため、安全帯のフックを一旦外し、安全帯が機能しない状態になったこと。 |
| 2 | 水平材の単管パイプに縦の単管パイプがクランプで取り付けてあったが、このクランプが解体作業のために緩めてあり、作業者が縦パイプをつかんで体重をかけたとき傾いたこと。 |
| 3 | 解体作業を行っていた工事業者が解体の専門業者でなかったため、作業者も解体作業に慣れていなかったこと。 |
| 4 | 高さが5m以上の建築物の金属製の部材を解体するときに、建築物等の鉄骨の組み立て等作業主任者を選任していなかったこと。 |
| 5 | 鉄骨等の解体作業を行うとき、作業の方法および順序などについて作業計画を定めていなかったこと。 |
| 6 | 元請・下請の混在作業であるのに、作業計画も不十分で、作業方法の検討、安全教育も行われていなかったこと。 |
対策
この災害は、単管とトタン張りの木材加工作業場の解体作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。| 1 | 安全帯の安全な使用方法を作業者に徹底すること 安全帯のフックを一時的でも水平の単管からはずし安全帯が機能しない状態にする場合には、確実な支持物につかまるなどの安全作業方法を定め事が必要である。 |
| 2 | 解体作業においては、作業の進行によって縦単管のクランプを緩めるなど外観ではよく判らない危険箇所が発生するので、緩めたクランプは必ず外しておくこと、危険であることの標示をするなどなど危険箇所を作業者に明示すること。 |
| 3 | 解体作業に慣れない作業者を解体作業に従事させるときには、あらかじめ必要な安全教育および作業指示を行うこと。 |
| 4 | 高さが5m以上の建築物の鉄骨の解体作業を行うときは、必要な資格のあるもののうちから作業主任者を選任し、その職務を行わせること。 |
| 5 | 高さが5m以上の建築物の鉄骨の解体作業を行うときは、作業計画を定め、その作業計画を関係労働者に周知させること。 |
厚生労働省