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労働災害事例

ドラグ・ショベルを運搬車に積込中にショベルが転落し、下敷になる

ドラグ・ショベルを運搬車に積込中にショベルが転落し、下敷になる
業種 土木工事業
事業場規模 5~15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 掘削用機械
災害の種類(事故の型) 転倒
建設業のみ 工事の種類 道路建設工事
災害の種類 パワーショベル等
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 通路が確保されていない
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 合図、確認なしに車を動かす

No.100568

発生状況

 この災害は、ドラグ・ショベルを運搬車に載せる作業中に発生したものである。
 災害発生当日、被災者は、作業を行っていた道路の法面(のりめん)工事現場から約5km離れた現場へドラグ・ショベル(質量11.6t、全幅2.75m)を搬送するため運搬車に積載する作業の指示を受けて現場で待機していたところ、運搬車(荷台幅2.45m、積載荷重8.75t)が到着したので運搬車の運転者と積載する場所の位置を決め、車外の操作レバーにより積込み用のアウトリガーを張り出し、後部が接地するまで荷台を傾けた。
 被災者はドラグ・ショベルを少し移動させて運搬車の荷台の後ろに配置してから、荷台上の角材にショベルのバケットを押し当て、履帯(りたい)の前部を持ち上げ機体の1/4程度を荷台に載せたところで、上部旋回体を右に180度回転させてバケットで路面を押圧しながら機体を持ち上げようとした直後、ショベルが横に滑り荷台から落下して横転した。
 被災者は運転席から外に放り出され、横転したドラグ・ショベルの運転席のフレームと地面との間に身体を挟まれ死亡したものである。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  不適切な運搬車を使用したこと
 施工計画書にある適切な運搬車を使用しなかったため、車幅がせまく道板も履帯に対し幅が不十分で、また最大積載荷重も不足していた。
2  不適切な積込方法を行ったこと
 ドラグ・ショベルを搭載するにあたり、道板を使用できなかったので、一般に「しゃくとり虫」と呼ぶ不適切な方法で積込み作業を行った。
3  誘導員の配置など危険を回避する措置を行わなかったこと
 運搬車への積込み作業にあたり、誘導員の配置など危険を回避するための適切な措置を取っていなかった。
4  安全管理が行われていなかったこと
 施工計画書に基づく安全作業の実施を関係者に周知徹底していなかった。
 また、作業方法の変更などの事前検討と周知が不十分であった。
さらに、作業者に対する安全教育が不十分であった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1  適切な運搬車を使用すること
 車両系建設機械を運搬する場合には、運搬車の最大積載荷重、荷台寸法などについて調査して適切な運搬車を選定する。
2  適切な積込み方法を行うこと
 運搬車への積込み作業は、道板の使用等の安全な作業方法を採用するとともに、積込み作業前に運搬車の駐車位置の安全を確認する。
3  誘導員の配置危険を回避する措置を行うこと
 車両系建設機械の運搬車への積込み作業に際しては、誘導者を配置し、それらの者に直接指揮、誘導のもとに作業を行わせる。
4  作業マニュアルに基づく、安全作業の実施を関係者に周知徹底すること
 慣れた積込作業であっても、作業マニュアルに基づいて実施する。
 また、変更した場合には、その内容について事前連絡を行い徹底する。
5  安全教育を実施すること
 関係作業者に対して安全教育を徹底する。