雨樋を取り付ける作業中に、絶縁被覆が損傷した引き込み線をテーピング中感電
| 業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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| 事業場規模 | 1〜4人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
| 災害の種類 | その他の電気 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | 老朽、疲労、使用限界 | |||||
| 発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
| 発生要因(管理) | 通電中の電気装置の | |||||
No.100515
発生状況
この災害は、木造2階建て家屋の台風被害復旧工事において、2階テラス屋根上で引込み線の絶縁被覆損傷箇所をビニールテープでテーピングしていたところ、感電したものである。引き込み線は、雨樋の下の軒先に取り付けられた碍子まで3芯ケーブルにより電柱から引き込まれ、碍子のところで2芯ケーブル(単相2線式100V)および3芯ケーブル(単相3線式100Vおよび200V)に分岐して家屋内に配線されていた。この分岐箇所はビニールテープでテーピングされていた。
災害発生当日、被災者は、同僚とともに現場に到着し、前日からの雨樋の取付け作業の続きを開始して雨樋を取り付けようとしたところ、引き込み線の分岐点の分岐後の3芯ケーブルの芯線のテーピング箇所が破損しているのを見つけた。そこで、被災者は新しいビニールテープで破損箇所をテーピングすることにした。
しばらくして、地上でブロック積みの作業を行っていた同僚が、被災者の声が聞こえないので不審に思い、はしごを昇ってテラス屋根上を見たところ、被災者が倒れているのを発見した。
原因
この災害は、被災者が倒れていた場所には、引込み線が結線されている部分に巻きかけ途中のビニールテープがぶら下がっていたこと、被災者の右手に4箇所、左手に2箇所の電流痕が認められたことから、引込み線の絶縁被覆損傷箇所をテーピングしていたとき感電したものと推定されるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。| 1 | 単相3線式の3本の配線の被膜は、いずれも風化して芯線が露出した状態であったこと。 |
| 2 | 活線作業用の絶縁用保護具を装着することなく、活線作業を行ったこと。 |
| 3 | テーピングする箇所が軒下であったため、無理な作業姿勢をとらざるをえなかったこと。 |
| 4 | 電気工事の知識経験がないのに、引き込み線を補修する作業を行ったこと。 |
対策
この災害は、2階テラス上で2階雨樋取り付け工事を行っていた被災者が、引込み線の分岐箇所の絶縁被覆損傷箇所をビニールテープでテーピングしていたところ、感電したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。| 1 | 電路を補修する作業を行うときは、電路を停電にしてから行うこと。 |
| 2 | 止むを得ず活線作業を行う場合は、絶縁用保護具を使用させること。 |
| 3 | 引き込み線の補修は、電力会社に通報し、その対応を相談すること。 |
| 4 | 引き込み線の補修は、電気工事を専門とする者など電気工事に関する知識経験を有する者に行わせること。 |
厚生労働省