個人住宅新築工事でブロック塀の下敷となる
| 業種 | 建築設備工事業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 5〜15人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建築物、構築物 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
| 災害の種類 | コンクリート擁壁、レンガ等の倒壊 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
| 発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
| 発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 | |||||
No.100512
発生状況
この災害は、一戸建て個人住宅新築工事において発生したものである。被災者の所属する会社は、一戸建ての個人住宅新築工事の下請として、更地に上下水道用の管埋設の工事を請負ったものである。
災害発生当日、午前8時10分頃、会社で通常どおり出勤者全員が集合して朝のミーティングが行われ、その後それぞれが担当する現場に向かったが、事故の発生した現場には配管工である被災者Aとミニドラグショベルの運転者の2名が、ダンプトラックにリースしたショベルを積んで向かった。
10時半頃、2名と現場で合流した配管工である被災者Bの3名で作業を開始した。
当日に予定していた作業は、建築予定の家屋から道路までの配管のうち残りの約40%について配管するもので、午前は順調に作業が進んだ。
午後1時から作業を再開していたが、2時頃に、突然、隣家との境にあるブロック塀が長さ約14mにわたってすでに掘削してあった溝のある南側に倒れた。 この溝底で配管作業中であった配管工2名が倒れたブロック塀の下敷となり、被災者Aは死亡、被災者Bは休業となる負傷を負った。 なお、前日までに配管が終了した部分(60%)については、埋め戻しは行われていたが、当日掘削した部分の埋め戻しは行われておらず、また、掘削溝(幅約6cm、深さ約70cm)に土止めは行われていなかった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。| 1 | ブロック塀の倒壊防止措置を行っていなかったこと 掘削した溝内で作業を開始する前からブロック塀が倒壊する危険があったにもかかわらず、事前に控えを設けるなどの危険を防止する措置を講じないまま、塀に接近する箇所で労働者に配管作業を行わせた。 |
| 2 | 掘削作業について手順が定められていなかったこと この現場では、ブロック塀脇の掘削を行うに際しての作業手順書が定められておらず、また作業者に対する安全教育も行われていなかった。 また、ブロック塀の基礎の状態や掘削箇所の状況を事前調査等により十分に把握していなかった。 |
| 3 | 作業の進行に合わせて埋め戻しを行っていなかったこと 作業箇所の近くには車を駐車していたことなどの理由で、配管が終了した掘削箇所の埋め戻しが計画的に行われていなかった。 また、元方事業者と下請との間で、作業に関する連絡調整と元方事業者による指導が不十分であった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。| 1 | ブロック塀の倒壊防止措置を行うこと ブロック塀に接近する箇所で掘削を行う場合には、塀の補強、移設、倒壊防止措置などを行うことが必要である。 |
| 2 | 作業手順を明確に定めて作業を行うこと ブロック塀脇の掘削作業などを行う場合には、事前に掘削箇所の周囲の状況を調査し、それに対応した安全な作業方法、手順を定めて作業を行うことが必要である。 特に、ブロック塀の倒壊のおそれがある場合には、土砂崩壊防止のための土止め支保工を設置する工法を検討することが重要である。 |
| 3 | 安全管理体制を整備し、安全管理を徹底すること 規模の小さい事業場であっても、あらかじめ安全衛生に関する知識を付与した責任者を現場に配置し、必要な指示を行わせることが重要である。 また、作業者に対しては、作業に伴う危険有害性についてあらかじめ教育を実施しておく必要がある。 なお、元方事業者は、下請に対して必要な措置を行うとともに、統括管理を行うことが必要である。 |
厚生労働省