移動式クレーンで型わく材を荷上げ中、型わく支保工が倒壊
業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 支保工 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 用具、荷、取り付け前の部材等が飛来・落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100507
発生状況
この災害は、屋内温水プール建設工事において建家のスラブのコンクリート用型わく支保工の組立作業中に発生したものである。災害発生当日、プール管理棟の1階スラブの型わく支保工を組み立てるため、移動式クレーンで型わく材の束(約790kg)を既に敷かれていたコンクリート打設用の型わく支保工の上に運搬していたところ、突然、型わく支保工を構成している軽量梁式支保工とコンパネの床材が小梁(こばり)用型わく材から外れ、同時に荷上げした型わく材の束と鉄筋(フープ筋)が一緒に落下した。
そのため、既設の型わく支保工の上で吊り上げた型わく材の束の玉掛け・誘導作業を補助していた被災者が、落下した型わく材の束等と一緒に1階床上に落下し休業2ヶ月の重傷を負った。
また、作業の直下で単管2本を運んでいた作業者も落下してきた型わく材の束等に激突されて死亡した。
なお、型わく材の束の荷上げ作業に従事していた他の作業員2名は付近の鉄筋に掴まったり、逃げて幸いにも無事であった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 移動式クレーンを使用して、型わく材の束を荷上げした箇所は、コンパネの床材と軽量梁式支保工を小梁(こばり)用型わく材に載せただけの不安定な状態であったため、型わく材の束と鉄筋(フープ筋)の重さに耐えられず、コンパネの床材と軽量支保工が小梁(こばり)用型わく材から外れたこと |
2 | 小梁(こばり)用型わく材を支えていたパイプサポートは、2列3箇所(計6本)で取り付けられていただけであり、しかも、根がらみや水平つなぎも取り付けられていなかったため、型わく材の束(約790kg)や鉄筋(フープ筋)を支えることができなかったこと |
3 | 型わく支保工の組立作業を行っている区域の直下に労働者の立入禁止措置をしていなかったため、落下してきた型わく材の束等をよけることができなかったこと |
4 | 組み立てた型わく支保工の安全度について、現場責任者などが確認することなく、移動式クレーンによる型わく材の束の荷上げ作業を行わせたこと |
5 | 型わく支保工の組立図のチェックや組み立てた結果、組み立ての作業状況などについて指示、確認などの統括安全管理を行っていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 型わく支保工は、組立図および作業手順に従って組立てること 特に、型わく材等の重量物を仮置きする必要がある場合には、型わく支保工の上部工を十分な強度を持つものとする必要があり、水平つなぎ、根がらみ等も堅固なもので確実に取り付けることが必要である |
2 | 軽量梁式支保工、コンパネ床材、小梁(こばり)で構成する型わく支保工の上部工は、その上に 仮置きする材料などを保持するのに必要な強度が確保されるようなものにするとともに、取付け部の強度についても点検すること |
3 | 移動式クレーンを用いて荷の積降し作業を行うときには、あらかじめ荷の仮置き箇所などの安全度を確認するとともに、積降し作業に付随する玉掛け・外し作業は安全な場所で行うこと |
4 | 型わく支保工の組立作業などを行っている直下で、梁束などの落下による危険がある場所への立入りは禁止すること |
5 | 関係請負人および元方事業者は、現場の作業状況を確認し、安全な作業に必要な指示を行うこと また、混在作業に伴う災害を防止するため、統括管理体制を整備し、活動の活性化を図ること |