フローチングクレーンでつり上げた消波ブロックが割れて落下
![フローチングクレーンでつり上げた消波ブロックが割れて落下](/anzen/sai/thumnail/sai10-673-43-1-s.jpg)
業種 | 港湾海岸工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の材料 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 港湾海岸工事 | ||||
災害の種類 | クレーン等で運搬中のものが飛来・落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 老朽、疲労、使用限界 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100505
発生状況
この災害は、防波堤の外側に消波ブロックを設置する工事において、フローチングクレーンでつり上げた消波ブロックが割れて落下したものである。消波ブロック設置工事は、2隻のフローチングクレーンを用いて、重量40tの消波ブロックと重量24tの消波ブロックを防波堤の外側に設置するものである。
災害が発生した日、打ち合わせ終了後フローチングクレーンAで海底に仮置きされている40t消波ブロックを15個引き上げ、消波ブロックを設置する防波堤の近くまで移動して停泊しているところへ、フローチングクレーンBが到着し、フローチングクレーンBを防波堤に係留し、フローチングクレーンAとBとを連結した。
消波ブロックの設置作業を始める前に、フローチングクレーンAの台船上に積み込んだ40t消波ブロックをフローチングクレーンB寄りに移動させることとなった。2個の移動を終え、3個目を「はちまき」に玉掛けし、つり上げ、旋回し、所定の位置でつり荷を降下させ、高さが約50cmのところまで降下した時に、突然40t消波ブロックが崩壊して3つのコンクリート塊に割れて落下した。そのとき荷の着地位置の近傍にいた作業員2人が、このコンクリート塊の下敷きとなって被災した。
原因
この災害は、防波堤の外側に消波ブロックを設置する工事において発生したつり荷の落下事故であるが、この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 消波ブロックは4年前に製造され、海中仮置き場に設置されて養生していたため、養生中に発生した波浪等の外力により、消波ブロックには構造的な損傷が存在した可能性があること |
2 | 消波ブロックの製造時に、コンクリートの配合の誤り、型枠にコンクリートを打設した際に行われる空隙の除去が不十分であったことなどにより所要の強度が得られなかったこと |
3 | 「はちまき」と呼ばれる方法により玉掛けされたため、消波ブロックに過度の集中荷重が加えられたこと |
4 | つり上げられた消波ブロックの着地位置の近傍に玉外し作業のために作業員が待機していたこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 長期間海中に仮置きされた消波ブロックについては、付着した海藻等を除去してクラック等の損傷の有無を確認すること |
2 | 玉掛け方法は、消波ブロックに過度の集中荷重が加わらないように胴体部分にワイヤーを巻き付ける「胴巻き」と呼ばれる方法などに変更すること |
3 | 玉掛け作業の合図者は、玉掛け作業者がつり荷の下方にいないことを確認しながら合図をフローチングクレーン運転者に送ること |
4 | 作業を開始する前に、あらかじめ、つり荷の形状、重量、重心などから玉掛け方法、玉掛け用具の選定などについて検討し、作業手順書を作成し作業員に周知徹底すること |
5 | 作業指揮者は、作業方法の決定、作業員の配置などの職務を確実に履行すること |
6 | 作業指揮者および作業員に対して、作業の危険性およびその対処方法などについて安全教育を実施すること |
7 | 元請は、下請が作業計画を作成する段階でつり荷の損壊の状況の確認方法などについての技術的指導援助を行うこと |