屋根上で天窓の取り付け作業中に墜落
業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 屋根、はり、もや、けた、合掌 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 屋根、屋上から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100498
発生状況
この災害は、木造2階建住宅建築工事において、2階屋根上で天窓の取り付け作業中に発生したものである。災害発生当日、一次下請のX工務店の事業主と作業者(大工)4名で、1階屋根のたる木の取り付けおよび野地(のじ)張りを行い、その後、2階屋根東側に天窓を取り付ける作業を行うこととしていた。
午前8時から作業を開始したが、前日の作業の流れから、大工Aと大工Bの2人で天窓を2階屋根上の東側の取り付け位置まで運んだ。
2階屋根には、野地(のじ)板からの滑りを防ぐ足掛りが3箇所設置されており、天窓の取付け位置付近の足掛り上では大工Bが押さえ、大工Aが天窓の梱包をばらしていた。大工Bが天窓取り付け用の野地(のじ)板部分をカットするため2階床に降りて行き、丸鋸のプラグを延長コードに差し込み、接続していたとき、天窓取付け用の金具をビス止めしていたと思われる大工Aが、当日朝から小雨が降っていて滑り易くなっていた2階屋根上を何かのはずみで滑り落ち、軒端から約5.25m下のアスファルト舗装道路の上に墜落した。
原因
その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 屋根の野地(のじ)板上が急勾配で滑りやすい状態にあったこと 屋根勾配が32度であり、また、災害発生当日、朝から小雨が降っていた。 |
2 | 被災者は、天窓を取り付けるため、天窓の木枠に天窓の取り付け用の金具をビスで取り付ける作業を行っていたと思われるが、そのとき何かのはすみで体の姿勢を崩して野地(のじ)板上を滑り落ち、2階屋根の軒先部にある野地(のじ)板からの滑りを防ぐための足掛りにも引っかからずに墜落したこと |
3 | 2階屋根の軒先付近には、墜落防止の手すりや作業のための足場が設けられておらず、また、被災者自身も保護帽は着用していたが、安全帯は着用しておらず、墜落防止のための措置が何もとられていなかったこと |
4 | 元請としても足場や手すりの設置など墜落防止設備を提供せずに建築物の組立、天窓の取り付け作業を行わせたこと |
5 | 墜落防止等の安全管理対策を元請まかせにしており、下請の事業主自身が墜落防止措置のない屋根上で、作業者に作業させていたこと |
対策
この災害は、木造2階建住宅建築工事において、2階屋根上で天窓の取り付け作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 軸組の組立て作業や屋根上での作業を行うにあたっては、事前に足場先行工法による足場を組み立てたり、屋根作業に適した足場と手すりを屋根の軒先から75p以上の高さの位置に設け、かつ、中さんを設けること |
2 | 屋根上には、野地(のじ)板作業や天窓を取り付け作業に適した滑り止めのための足掛りや安全帯取り付けのための親綱の設置など、墜落防止措置をとること |
3 | 元請は、下請に作業を行わせる場合には、安全管理を徹底するため、足場や手すりなどの点検を行い、また、関係作業者の作業状況を監視し、必要な指導、指示を行うこと |
4 | 下請の事業主は、作業者に安全帯を提供しその使用を徹底させる他、作業中の不安全行動を監視し、安全教育を行うなど必要な措置を行うこと |
5 | 作業者にも保護帽の着用の徹底、安全帯の使用の励行、墜落防止のための不安全行動の防止を徹底すること |