屋根トラスに棟木を取付け作業中に墜落
業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 屋根、はり、もや、けた、合掌 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 梁、母屋から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100497
発生状況
この災害は、木造2階建住宅の新築工事で屋根トラスに棟木を取付ける作業中に発生したものである。災害発生当日の作業は、前日までに施工されていた2階の桁と梁の上に屋根トラスを設置し、それらをつなぐ棟木(むなぎ)を設置するもので、朝から屋根トラス3本とそれらの間の棟木(むなぎ)を設置する作業を第2次下請の作業者Aと一人親方Bの2人で行っていた。
午後の作業は1時過ぎから再開し、2人は2階の桁上に屋根トラスを1本づつ運び上げ、親方は建物の端の方、被災者は中央の方に位置してそれぞれが釘で桁に仮止めを行った。
午後1時50分頃、各々が仮止めした屋根トラスどおしを棟木(むなぎ)で固定するため、まず、Bが屋根トラスの端部に立って棟木(むなぎ)の端を持って掛け渡し、棟木(むなぎ)のもう一方の端をAが同じく屋根トラスの中央部に立って受け取った。
次いでBが屋根トラスの頂部に棟木(むなぎ)の端を仮置きしようとしたとき、Bの手から棟木(むなぎ)が引き落されるようにして離れて行き、同時にAがトラス中央部の位置から仰向けに約5.8m下の1階床上に転落した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 2階の桁・梁の位置は、地上から約2.6mの高さにあり、墜落の危険があったにもかかわらず、作業床の設置、安全帯の使用など墜落防止措置が全くとられていなかったこと |
2 | 2階床と1階床との間の昇降用のはしごがかけられて開口部となっている箇所に、手すり、囲い、覆いなど墜落防止措置をしないで、作業を行ったこと |
3 | 被災者が棟木(むなぎ)を片手で持ち、片手で屋根トラスをつかんで屋根トラスの上に立ち、棟木(むなぎ)の他の端は別の作業者が持つという不安定な状態で作業をしていたため、被災者が身体のバランスを崩して墜落したこと |
4 | 墜落の危険が高い作業であったにもかかわらず、作業者に対する安全教育の実施、作業開始前の手順の決定、作業中における安全帯の使用状況の監視などが行われていなかったこと |
5 | 木造建築物の組み立て等作業主任者を選任するなどの安全管理体制が整備されていなくて、安全管理が不十分であったこと 2階軒から地盤面までの高さが5.8mあるにもかかわらず、木造建築物の組み立て等作業主任者が選任されていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 統括安全管理を行うこと 木造家屋建築工事では、元方事業者が現場に常駐し、作業の指示、監督を行うことが少なく、また、下請の作業者や一人親方などが入れ替わり入場してくることが多い。 このため、現場全体の安全管理を統括的に指揮・監督する体制がとられていないことが多いが、元方事業者または一次下請の事業者は木造建築物の組立て等作業責任者を選任し、その者から直接に適切な安全の作業指示、指揮を取ることが必要である。 |
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2 | 墜落防止措置を確実に行うこと | |
(1) 屋根トラスや棟木(むなぎ)を設置する工事など墜落の危険がある作業では、墜落防止用の安全ネットを設置するか、安全帯の使用を励行することが必要である。 (2) 昇降用のはしごを設置してある箇所の開口部などについては、開口部からの墜落防止措置を怠ることが少なくないが、その周辺で作業を行う時には必ず対策を講ずることが必要である。 |
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3 | 安全教育を実施すること 現場に新規に入場してくる下請の作業者に対し、元方事業者や下請事業者が現場の作業時の危険とその対策等について新規入場者教育を実施することが必要である。 |