2連の移動式足場を移動中に転倒
業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 足場 | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
災害の種類 | 立てかけてあったものが倒れた等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 構成材料の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100483
発生状況
この災害は、移動式足場を移動する作業中に発生したものである。災害発生当日の作業予定は、商業店舗の屋根部の看板下地とシャッター受けの取付工事を行うもので、朝から元請の現場代理人と下請の作業者4名で店舗屋根部の看板下地取り付け作業を開始し、この作業は午後4時頃に終了した。
続いて、シャッター受け(トラス)の取り付け作業に着手することになり、シャッター受けの取り付け方法を種々試した結果、溶接を行う箇所に移動式足場(3層で高さが5.3m、幅は2スパンで3.65mの枠組足場に脚輪を付けたもの)2組を向かい合わせに置き、その間に鋼製布枠を渡してその上で溶接作業を行うことに定まった。
午後6時頃になって、この移動式足場を使用したトラスの取り付け作業を始めて、4つ目のトラスの取り付けのため、作業者Aと同僚2人で移動式足場上に2人の作業者BとCを載せたまま足場を押したところ、足場がバランスを崩して転倒し、上に乗っていたBとCの2人が落下し、Aも足場にはさまれてともに負傷した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 不安定な3層の枠組足場であったこと 移動式足場は、枠組足場の脚部に脚輪を取り付けただけのもので、また、高さ3層の移動式足場を2つ並べてその3層目の補鋼材に布枠を載せただけの不安定な構造の足場であったために少し強く押しただけで転倒した。 |
2 | 少人数で無理に移動させたこと 下方で足場を移動させる人数が3名から2名に減ったのに、作業方法等も再検討せずにただ押して移動させようとしたため、力加減のバランスを欠いて転倒したものである。 また、作業期間が限られていたこともあり、元請の現場代理人が十分に安全な作業方法の検討もせず、作業準備および的確な作業指示もしていなかった。 |
3 | 安全管理を実施していなかったこと 災害の直接原因ではないが、元請および下請代表者のいずれも有資格者のチェックを怠り、無資格者に積載型クレーンの運転操作をさせていたなど安全管理を実施していなかった。 また、移動式足場の最上部に手すりを設けること、昇降設備の設置や最大積載荷重の表示などもなされていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 作業計画を策定して作業を行うこと 移動式足場を使用し、高所で作業を行う場合には、安全な作業方法についての検討を行い、適切な作業計画、作業方法を決定する。 また、枠組足場に脚輪をつけて使用する場合には、足場が倒壊したり、転倒することのないようバランスのとれた形状のものに組み立て、不意に動かないように控え等で固定してから使用する。 なお、移動式足場の建枠については、構造規格に定める構造のものとし、手すり、昇降設備を備え、最大積載荷重の表示等を行う。 |
2 | 足場に作業者を乗せたまま移動しないこと 移動式足場を移動させるときには、最上部の作業床などには労働者を乗せない。 また、足場を移動させる方法についてもあらかじめ検討し、関係者に周知する。 |
3 | 安全管理を十分に行うこと 元請の現場代理人、下請の現場管理者は、現場の安全管理について自らの安全意識を高めるとともに、労働者に対する安全教育を徹底する。 また、有資格者を配置して移動式クレーン等の操作を適正に行わせるとともに、足場の組立て等作業主任者の直接指揮のもとで、足場の組立て作業を行う。 |