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労働災害事例

荷物用エレベーターに搭乗し、2階床先との間にはさまれる

荷物用エレベーターに搭乗し、2階床先との間にはさまれる
業種 水産食料品製造業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 構成材料の欠陥
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 欠陥のある機械、装置、工具、用具等を用いる

No.100462

発生状況

   この災害は、味噌など食料品製造工場の荷物用エレベーターで発生したものである。
   この工場では、1階で洗った麦を3階へ運び蒸し釜で蒸した後、2階の室(むろ)に落とし発酵を経て麹にし、麹は蒸煮器で蒸された大豆と塩、水と混ぜ合わされてポリバケツで2階から1階に運ばれて仕込み室で貯蔵されたのち缶に入れられ、箱詰・出荷される。
   災害発生当日の朝、工場長は作業者3名がそろったところで当日の作業の段取りを説明したが、本人の午前中の作業は3階で蒸し釜を用いて麦を蒸す作業となっていた。
   作業者3名は指示に従って直ちに作業を開始したが、工場長は作業の途中で1階に降りて、生姜加工品の製造作業をする作業者および味噌醸造工場に隣接している箱詰工場のパート作業者と打ち合わせをした後にエレベーターを利用して3階へ向かった。
   その後10分程して午前の休憩時間になったので、コーヒーが入ったことを告げに1階の作業者の一人が工場長を呼びに行ったところ、2階のエレベーター昇降路の出入口の床先とエレベーターとの間に頭部を挟まれている工場長を発見した。
   直ちに救急車の手配をし、駆けつけたレスキュー隊により工場長は救出されて病院に移送されたが、頭蓋骨骨折ですでに死亡していた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  荷物専用のエレベーターに作業者が搭乗したこと
 工場長は社長からエレベーターの搬器に搭乗しないように注意されていたが、高齢のため、時々搭乗しており、搬器が下から上に移動中に1階の作業状況をみようとして、搬器から頭部を外に出していて2階の出入口床先と搬器との間に挟まれたものと推定される。
2  構造的に不安全なエレベーターであったこと
 このエレベーターは昇降路の周囲が全く囲まれていない、昇降路および搬器の出入口に扉がない、積載できる荷重の表示がないなど作業者が搭乗しなくとも、搬器を昇降させているときに付近で作業を行っている者などに危害を及ぼすおそれが大きいものであった。
3  安全教育がなされていなかったこと
 この会社は典型的な小規模事業場であるが、作業者に対する安全衛生教育は実施しておらず、また、被災者以外はこのエレベーターに搭乗した例はなかったが、エレベーターの取扱者の特定、付近への立ち入り禁止なども実施していなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1  構造的に安全なエレベーターを設置すること
 労働安全衛生法の適用を受けない積載荷重が0.25ton未満のエレベーター、簡易リフトであっても、エレベーター又は簡易リフト構造規格に準じて設計、製作されたエレベーターを設置し、定期自主検査などを行うことが必要である。
2  エレベーターの使用に関する表示を明確にすること
 搭乗禁止を口で呼びかけるだけではなく、各階の出入口に「搭乗禁止」の表示を明確にし、なお搭乗が止まないような場合には各階の出入口の扉に施錠し、使用時に限って鍵を渡すようにする。
3  安全衛生教育を実施すること
 事業場として危害防止、健康の保持に関して明確な方針を打ち出し、実践していないと作業の際に安易な行動となるケースがあるので、小規模の事業場であっても作業責任者および作業者に対して基本的な安全衛生教育を実施することが必要である。