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労働災害事例

透過写真用ガンマ線照射装置の脱落した線源を収納する作業中に、線源にばく露され放射線熱傷を負う

透過写真用ガンマ線照射装置の脱落した線源を収納する作業中に、線源にばく露され放射線熱傷を負う
業種 その他
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の装置、設備
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) その他保護具を指定していない
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 機械、装置、工具、用具等の選択を誤まる

No.100440

発生状況

 この災害は、蒸気タービン溶接部の非破壊業務において、透過写真撮影用ガンマ線照射装置を操作中、作業者がガンマ線に被ばくしたものである。
 災害発生当日の午前9時頃から、被災者は同僚と2人で、ガンマ線検査室で透過写真撮影用ガンマ線照射装置を用いて検査室に運び込まれた蒸気タービンのノズル室の溶接部を撮影する作業を行っていた。
 午前中に外側からの撮影が終わり、午後になって内側部分の1回目の撮影を終え、線源を線源容器に収納するため、同僚が操作器を操作してワイヤレリーズを最後まで巻き取ったが、線源が伝送管内でワイヤレリーズから脱落し、検査室内に設置されている警告灯が点灯し続けていた。
 そこで、被災者が操作管と伝送管を直接接続して線源ホルダーをワイヤレリーズにより押し込んだところ、線源ホルダーの先端部にある線源カプセル部が線源容器の操作管接続側に突き出た状態に収納された。この状態で被災者が操作管を所定の位置に再接続しようとした際に、線源カプセル部に被災者の手指が触れて被ばくした。

原因

 この災害は、透過撮影用ガンマ線照射装置の脱落した線源を線源容器に収納する作業で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1 線源ホルダーをワイヤレリーズに連結する際に、締め付けが確実でなかったため、脱落したものと考えられること
2 線源ホルダーが脱落するなどの異常時における作業手順が明確化されていなかったこと
3 線源取り替え時に、ワイヤレリーズの接続部の損傷の有無の確認が十分に行われていなかったこと
4 異常時の措置基準、作業マニュアル類の制定、見直しなどの安全衛生管理体制が十分に機能していなかったこと
 また、作業主任者の職務の励行が不十分であったこと
5 作業の安全を確保するための作業手順、異常時の対応などの安全衛生教育が十分に行われていなかったこと 
 また、監督者に対する部下への監督・指導の重要性についての監督者教育が十分でなかったこと

対策

 この災害は、透過写真撮影用ガンマ線照射装置の脱落した線源を線源容器に格納する作業で発生したものであるが、同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 線源が脱落するなどの異常が発生したときの作業は、遮蔽された場所を設けるなどの措置を講じ、鉗子を用いるなど被ばく量が最小限度となるような作業方法により行うこと
2 ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に従事する者に対して、作業の方法、装置の取扱い方法、放射線の生体に与える影響などについて十分な教育を実施すること
3 放射線業務に従事する者に対し、被ばく線量測定用具を身体の適切な部位に装着させること
4 ガンマ線透過写真撮影用作業主任者は、管理区域ごとに選任し、電離放射線障害防止規則に定める職務を確実に実施させること
5 作業手順の制定、作業主任者の職務の励行、教育の実施などについて、安全衛生管理体制が十分に機能するように体制の見直しを行うこと