暴風に煽られ逸走したキャスター付き通函に激突された
業種 | 特定貨物自動車運送業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 人力運搬機 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 動いている機械、装置等に接近し又は触れる |
No.100430
発生状況
この災害は、貨物自動車運送会社の営業所において、強風に煽られ逸走したキャスター付き通函の回収作業中、作業者が逸走した通函に激突されたものである。災害発生当日、台風が接近してきたので、午後の通常作業を中止し、屋外荷置場に仮置きされていたキャスター付き通函(鋼製枠で囲まれた箱形構造、縦2メートル、幅1.5メートル、高さ0.9メートル、重量は積荷により異なり200kg〜300kg)を事務所前に集め、キャスターに逸走を防止するための木片を噛ませて強風対策を済ませ、事務所内で待機していた。
午後3時頃、台風の接近に伴い強風に煽られた通函が次々と逸走し、荷置場内に散乱し、一部は隣接する国道に飛び出したので、待機していた作業者Aら6名が逸走した通函を回収するため外へ出た。
作業者は、それぞれ逸走した通函を元の場所へ戻し、逸走防止の歯止めを行うなどの回収作業を行った。
この回収作業中、作業者Aが3段積みの通函に激突され、コンクリート壁と通函との間に挟まれて死亡していたのを同僚の作業者によって発見された。
原因
この災害は、強風に煽られ逸走したキャスター付き通函の回収作業中に発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 強風に煽られキャスター付きの通函が逸走している荷置場で作業が行われていたこと
2 通函のキャスターに歯止めの機構が備えられていなかったこと
3 逸走防止のために木片を使用してキャスターに歯止めをしていたが、十分でなかったこと
4 通函が集積されていた荷置場は、コンクリートで舗装されていたため、キャスター付き通函が転がりやすかったこと
5 被災者が通函に激突される急迫した危険を察知することができなかったこと
6 監視人を配置してなかったため、被災者に危険を知らせることができなかったこと
7 強風時の通函の集積方法および逸走防止の方法が、マニュアル化されていなかったこと
8 作業を直接指揮する者が指名されていなかったため、各作業者がそれぞれの判断で作業を進めていたこと
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 通函は、歯止め機構を備えたキャスターを取り付けること
2 強風時の通函の集積は、歯止めを確実に行い、シートで覆うなど確実に逸走防止する措置を講ずること
なお、通函を集積する場所としては、小屋組の施設を設けることが望ましい。
3 強風時における作業について、作業指揮者の指名、作業方法、集積方法、監視人の配置、急迫する危険の対処方法などを定めた作業手順を作成すること
4 作業指揮者は、作業手順に沿った作業方法、監視人の配置などについて、作業開始前に作業員に対して作業の安全を確保するための具体的な指示を行うこと
5 安全衛生推進者を選任し、その者に日常の安全衛生管理業務として、作業手順の作成状況およびその履行状況の確認など作業の危険または健康障害を防止するための措置に関することを行わせること
6 作業者に対して、安全に対する啓蒙を図るための定期的な安全教育を実施すること