ゴルフ場にて自動走行式ゴルフカートの試乗訓練中にカートが横転してキャディが負傷

業種 | ゴルフ場 | |||||
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事業場規模 | 30~99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の乗物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 交通事故(その他) | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 欠陥のある機械、装置、工具、用具等を用いる |
No.100412
発生状況
この災害は、ゴルフ場において新しく設置した電磁誘導型自動走行式ゴルフカートが訓練中に横転し、キャデイ4名が負傷したものである。災害発生当日、支配人から初めに口頭で数分間、緊急時に必要なフットブレーキ操作と他の操作は全て自動であることについて説明を受けた後、キャデイは6台のゴルフカートに分乗し、実際にゴルフをしながら、運転操作の訓練を行った。
訓練がほぼ終了し、キャデイ4名が乗った3台目のカートが、最終ホールからクラブハウスへ戻る途中の大きく右折する下り坂(勾配10度~12度)に差し掛かり、速度がブレーキの自動作動設定速度を大きく上回ったが油圧ブレーキが作動せず、キャデイも慌ててフットブレーキの操作を行わなかった。
このため、カートは超過速度によりカーブを曲がったところで、カート道から飛び出して横転し、キャデイの4名はカートから外に投げ出され、頭首腰等に三ヶ月以上の打撲擦過傷を負った。
なお、電磁誘導はカート道に敷設した電磁誘導線に通電し、カートはセンサーで検知しながら設定速度で自動走行するものである。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 ゴルフカートの自動走行制御に関するコンピュータープログラムの一部に欠陥があり、ノイズなどの異常に対応できなかったこと
ゴルフカートの走行速度は、自動的に油圧ブレーキを作動させたり、解除させたりする制御システムになっているが、誤作動を起こすノイズに対応する措置が十分に行われていなかった。
このため、外部からのノイズによる制御系の異常作動により速度制御ができなくてカートが暴走したものである。
2 カートの設置メーカーが納入時に行った走行テストが不十分であったこと
このゴルフ場では人の乗車しないリモコン誘導の3輪カートが多数使用されているのに、この様な状況を考慮した走行テストが行われていなかった。
3 異常が発生したときのフットブレーキの操作について訓練が不十分であったこと。
4 カートの操作の注意事項等について、乗車するキャディに対して、事前に教育指導していないこと
対策
この災害は、ゴルフ場において新しく導入した電磁誘導型自動走行ゴルフカートが訓練中に横転し、キャディが負傷したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 自動走行式ゴルフカートの自動制御系に異常が生じたときの非常停止システムについて安全のアセスメントを行うこと
2 カートが一定の速度を超えたことを示す警報ランプの設置が有効であること
3 外部からの電磁ノイズの影響をシールド等により防ぐ方法を講ずること
また、制御系統に外部から電磁ノイズの影響があった場合には、カートを停止させるシステムとすること
4 メーカーは、カートの納入時に十分な走行試験を行い、安全を確認してからユーザ―に引き渡すとともに、キャディに対する教育指導に協力すること。
5 ゴルフカートにあっては、その日の使用開始前に、フットブレーキの性能について点検、確認を行うこと。
6 安全管理体制を確立し、安全教育を徹底すること