トラック荷台に荷を積込み作業中、「あおり」が倒れ、作業者と荷が落下
業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の積み方、置き方の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.100411
発生状況
この災害は、鋳鉄製ガス管のトラック輸送のため、荷台に荷を積込み作業中、荷台のあおりが倒れて作業者が荷とともに転落したものである。災害発生当日、トラック運転手である被災者は、翌日に配送予定の鋳鉄製ガス管(径25o、長さ5.5m、重量233s)を積み込むため、トラック(最大積載量4t)を運転して作業現場である倉庫に到着した。
被災者は倉庫前で荷台の助手席側のあおりを倒して、荷台に載せてあった毛布を助手席に移し、あおりをもとの位置にもどしてから、同僚の誘導によりトラックをバックで倉庫に入れた。
積込み作業は、被災者と同僚2名の3名でガス管13本を積み込むもので、まず同僚の一人がスリングベルト2本を使用してガス管3本に玉掛けし、天井クレーンで荷台の助手席側のあおりに接する位置に降ろした。
被災者は、荷台上でスリングベルトを外し、これを整理しようとして身体を前屈みにし、あおりに手を掛けた瞬間、あおりが倒れたため被災者は土間に転落した。続いて、積み込んだばかりの3本のガス管が被災者の身体の上に崩れ落ち、被災者は外傷性脳損傷のため死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 トラック荷台のあおりが確実に閉じられていなかったこと
荷台のあおりは、「あおり開閉補助装置」により自立はしていたが、あおりの前後に設けられているロック用レバーは外れていた。
2 あおりの負荷がかかったこと
被災者が荷台上で玉掛用スリングベルトを整理しようとしてあおりに手を掛けたため、あおりに負荷がかかって倒れたものである。
3 トラックの荷台が傾斜していたこと
トラックの荷台のあおりに接する位置にガス管3本が降ろされたことにより偏荷重がかかり、荷台があおり側に傾斜していたためガス管が崩れ落ちやすくなっていた。
4 危険認識が欠除していたこと
「あおり開閉補助装置」は、あおりを運転手が1人で上げるためのスプリング機構の単なる補助装置であることの認識がなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 あおりを閉めるときは、ロック用レバーを確実に掛けること
トラックのあおりを倒して作業を行った後、これを閉める時は、「あおり開閉補助装置」によってあおりを上げるだけでなく、あおりの前後部にあるロック用レバーを確実に掛けておく必要がある。
2 ロック用レバーを識別しやすい措置を講ずること
あおりのロック用レバーに赤色でテーピングをすること等により、レバーが外れている場合にはこれを容易に識別しやすくする措置が必要である。
3 作業手順を定め、徹底すること
荷の積み卸しやあおりの開閉について、手順を明確に定め、関係作業者に周知徹底することが必要である。
その他、荷役作業に関する事項について安全教育を実施することが必要である。