首に巻いていたマフラーが製材工場のローラーコンベアのシャフトに巻き込まれる
業種 | 製材業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | コンベヤー | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不安全な服装をする |
No.100406
発生状況
この災害は、製材工場において、首に巻いていたマフラーがローラーに巻き込まれたものである。この製材工場では、加工された製品(板材)が、ライブローラー(ローラーコンベア、横取装置およびコンベアとで構成)のローラーコンベアによって流されてきて、製材工場内のスイッチ操作で製品の種類ごとに横取装置により振り分けられるようになっている。
被災者ら3名は、この振り分けられた製品を手運搬により建屋から4〜5m離れた屋外に積み上げる作業に従事していたが、製品出し作業所には壁がなく、開放状態であったため、災害発生当日のような冬季の寒い時期には一斗缶で薪を燃やし暖をとっていた。
当日は、被災者等は午前8時に作業を開始したが、午後4時頃被災者の隣の場所で作業していた同僚が被災者の方を見たところ、被災者が担当場所の近くで、ライブローラーの下に置いてある薪の方に手を伸ばしてしゃがんでいるように見えた。不審に思った同僚が近づいて見ると、被災者はマフラーがローラーのシャフト部分に巻き込まれて倒れていた。救出したが既に呼吸が止まっていた。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 危険な服装で作業をしていたこと
被災者は、寒い日はよくマフラーを着用しており、当日もマフラーを着け、しかも作業服の外に約30p程出していた。
2 ライブローラーに接近したこと
災害が発生した時には、暖房用の薪を取るため不用意にライブローラーに接近し過ぎたと考えられる。
3 手元スイッチが無かったこと
作業場所近くには緊急停止のための手元スイッチが無かった。そのため、救出のためライブローラーを停止するのに製材工場内の元スイッチを使用したため停止に時間がかかった。
4 安全管理が不十分であったこと
当日の朝、朝礼が実施されたが、工場長などからマフラーの着用についての注意はされなかった。
また、暖房用として使用する薪がライブローラーの下にある等安全管理が行われていなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 危険な服装を禁止すること
この作業所は、開放状態であるため、冬季の作業では、保温の措置が必要であるが、防寒作業服の着用などにより、不安全なマフラーの着用等を厳禁することの必要がある。
2 危険箇所への立入りを禁止すること
機械の稼動中、危険な箇所に立入らないよう棚の設置等の立入禁止措置を行うことが必要である。
3 機械の近くに非常停止装置を設けること
この機械の運転スイッチは4箇所にあったが、いずれもライブローラーから離れていた。危険な機械には、近くに非常停止装置を設けることが必要である。
4 安全管理体制を確立すること
この事業場のような規模のところでは、安全衛生推進者を選任し、各種安全対策の計画、安全教育の実施などを実施させることが必要である。