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労働災害事例

トラクター・ショベルをトラック荷台に積み込む作業中、トラクター・ショベルが後転して作業者が下敷となる

トラクター・ショベルをトラック荷台に積み込む作業中、トラクター・ショベルが後転して作業者が下敷となる
業種
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 建設機械等
災害の種類(事故の型) 転倒
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 整備不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) その他の不安全な行動で

No.100365

発生状況

この災害は、農場の牧草畑に堆肥まき作業用トラクター・ショベルをトラックの荷台に積み込む作業中、トラクター・ショベルが転落して、作業者が下敷きになったものである。 
 この農場では被災者である農場長Aほか3名で、a農場全般の管理業務、b牧草の栽培と刈り取り、他から飼料購入、c生産牛豚の農場畜舎での育成、d生育した牛豚の取引先の出荷、e作業用トラクター・ショベル、トラック等の運転、維持管理および補修の作業が行われていた。
 災害発生当日は、朝からAはトラクター・ショベルによる牧草地への堆肥まき作業を行い、作業者Bは牛舎内の作業を指示された。
午前11時過ぎ、農場前道路上でトラッククレーンの荷台にトラクター・ショベルを積み込もうとして、Aが道板2枚を荷台にかけ、トラクター・ショベルに乗り込んで運転し、約15度の傾斜の道板上を前進走行していた時に、トラクター・ショベルが平衡を崩し、前輪が浮き上がり反転して転覆した。下敷になった被災者Aの悲鳴を聞き、農場牛舎で飼料藁をカットしていた作業者Bが駆けつけ、他の作業者の応援をうけて救出し、病院に運んで手当したが、Aは死亡した。

原因

この災害の発生原因としては、次のようなことが考えられる。
1 トラクター・ショベルをトラックの荷台に積み込む方法が適切でなかったこと
トラクター・ショベルをトラックに積み込むときは重心の関係で後進自走させることが安全であるが、今回は前進自走させ道板を登った。
また、トラックの荷台にかけた傾斜角15度の道板上を前進自走させるに当たり、整備不十分なトラクター・ショベルが粗雑な運転でバウンドなどにより重心が後部に移り、前輪タイヤが浮いて180度後転し、逆さまに転倒した。
2 トラクター・ショベルの運転席のヘッドガードが横転等の場合の防護措置として十分でなかったこと
3 トラクター・ショベルの点検整備が不十分であったこと
年次特定自主検査は1年以上前に実施されたのみであり、月例の検査については記録がなく実施されていないと認められる。
4 安全作業を徹底させるための作業手順の作成と教育が不十分で、作業者の経験と安全意識に任せていたこと

対策

この災害は、トラクター・ショベルをトラックに積み込む際に反転転覆して発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 建設機械のトラック輸送の方法について安全作業基準を作成し、関係作業者に周知徹底すること
なお、主な農業機械作業、農薬散布作業などについても検討する必要がある。
2 トラクター・ショベルにはヘッドガードを具備すること
トラクター・ショベルの災害例から見て、堅固なヘッドガードを具備することが最も重要である。
3 安全衛生管理体制を整備し、安全衛生管理を徹底すること
一般に10人以下規模の事業場が多く安全衛生に関心が薄いが、安全衛生担当者を選任し、安全意識を高めるために安全衛生教育を実施するなど安全衛生を強力に推進する必要がある。