アースオーガーでプレボーリングの作業中、風管受けが落下してきて地面との間ではさまれる
| 業種 | その他 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 1〜4人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 基礎工事用機械 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
| 災害の種類 | 用具、荷、取り付け前の部材等が飛来・落下 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | 設計不良 | |||||
| 発生要因(人) | 場面行動 | |||||
| 発生要因(管理) | 危険場所に近づく | |||||
No.100321
発生状況
この災害は、下水道管渠(かんきょ)築造工事において、鋼矢板(こうやいた)の打ち込み作業中に発生したものである。この現場では、鋼矢板(こうやいた)の打ち込み作業を行っていたが、途中で地盤が固いため打ち込みが困難になったので、一旦プレボーリングを行うことにした。
プレボーリングに使用するアースオーガのスクリューには、スクリューの回転により土砂泥が周囲に飛び散ることを防止するために伸縮する風管の覆いが取り付けられ、風管の下部に取付用ワイヤロープで吊った風管受けが設けられていた。
運転者Aは、スクリューの先端部が見易いように風管受けを上げ、アースオーガーを運転し、作業者Bは打ち込み箇所を見ながらの合図、作業者Cはケーシングに手を添えてセクションと矢板をかみ合わせるための誘導を担当し作業を開始した。
作業者Aがアースオーガーを徐々に移動させて位置決めを行い、作業者Bの合図に従いスクリューを徐々に下降させていたときに、風管受けが突然落下した。そのため、ケーシングに手を添えて誘導を行っていた作業者Cを直撃し、Cは風管受けと地面の間に挟まれて、胸部圧迫骨折により死亡した。(図1、図2参照)
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 風管受けのワイヤロープが破断したこと
通常の作業では、スクリューを下降させる際には風管受けを下降させることになっていたが、風管受けを上げたままオーガーを下降させたため、風管受けを吊っているワイヤロープが耐えきれず破断したものである。
2 風管受けの真下で被災者が作業していたこと
風管受けは、ワイヤロープで吊られているため、ワイヤロープが切断すると落下するおそれがあるのに、被災者が風管受けの真下で誘導を行っていた。
また、風管受けには、落下を想定した安全な措置がとられていなかった。
3 風管受けとオーガードライブユニットが衝突する構造になっていたこと
風管受けは、オーガードライブユニットと同じリーダーのガイドパイプに取り付けられていたため、風管受けを上げた状態でオーガーを下降させると、オーガーが風管受けに衝突する構造となっていた。
対策
この災害は、鋼矢板(こうやいた)の打ち込み作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 風管受けの落下防止措置を行うこと
風管受けはワイヤロープによって吊られる構造となっているが、ワイヤロープが切断しても落下しないようストッパーの取付け等の措置を行うことが必要である。
2 風管受けの位置が判るような標示等を行うこと
このような作業では、一旦風管受けを取外す等の措置が必要であるが、それが困難な場合には、風管受けの位置を運転者が確認できるように、ワイヤロープに目印を付ける等の措置を行うことが必要である。
3 作業者は風管受けの真下に入らないこと
機械の運転を誘導する場合には、ガイドロープ等を使用して、危険領域から離れた位置で作業を行うことが必要である。
4 安全管理を徹底すること
作業の途中で計画を変更する場合には作業の安全性について十分に検討するとともに、作業開始前の打合せ等で作業者に周知徹底することが必要である。
厚生労働省