荷を取り込むために部分的に手すりを取外し、作業床の端から墜落
業種 | 土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建築物、構築物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 土木工事 | ||||
災害の種類 | 足場から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 忘却 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.100308
発生状況
この災害は、法面(のりめん)の地すべり防止工事において、使用するボーリングマシンを運搬する作業中、荷を取り込むために手すりを取り外した作業床の端から墜落したものである。災害発生当日のボーリングマシンの運搬作業は、地上に置かれたボーリングマシンをバックホーで吊り上げて軌道の台車へ載せ、ウインチを用いて台車を作業構台の作業床(高さ12m)と同じレベルまで引き上げた。
次いで、作業床に取り付けたチルホールを用いてボーリングマシンを台車から作業床へ引き込もうとしたところ、ボーリングマシンが作業床の端に引っかかってしまい、引き込むことがうまくいかなかった。
そこで一度休憩を取って新たな方法を考えることにした。
休憩を決めてからまもなくして、1人作業床に残っていた被災者が、手すりを取り外した作業床と台車の側面との間にできた開口部から墜落し、地面までの中間の単管の支柱に当たって、顔面から後頭部にかけて単管が突き刺さって即死した。
なお、被災者は保護帽を着用しており、また、安全帯も装着していたが使用していなかった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 墜落防止措置が不十分であったこと
ボーリングマシンを台車から作業床へ引き込む作業で、邪魔になる手すりを撤去し、その際にできた開口部への墜落を防止するための措置を行わなかったことである。
なお、被災者は、作業床の手すり等を安全帯を取り付けるための設備として活用することは可能であったが安全帯は使用していなかった。
2 作業方法が適切でなくて時間がかかり、作業途中で休憩したとき、撤去した手すりを元の状態に戻しておかなかったこと
チルホールを水平方向で作業床へ荷を引き込む作業を行ったため、重量物でありかつ凸凹のあるボーリングマシンが作業床の側面に引っかかり、さらに、作業床の奥行きがボーリングマシンの長さより小さかったため、水平方向に引き込むだけでは取り込むことができず、回転させながら引き込む必要があった。
3 安全管理体制が整備されていないこと
1次下請が全ての作業を2次以下の事業者に行わせて、安全管理をしていなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 作業構台の作業床と台車との間の開口部および台車の周辺に適切な墜落防止措置を講ずること
作業のため開口部が生じた場合には放置せずに墜落防止措置を講ずることが必要である。
なお、やむを得ず手すり等を取り外して作業を行う場合には、作業者に必ず安全帯を使用させることが必要である。
2 安全な作業方法を定め、関係者に周知徹底すること
安全で適切な作業方法を作業前に検討し、その作業方法に従って作業を実施することが必要である。
なお、作業の計画を作成する場合には、ボーリングマシンや作業床等の作業環境の特徴を十分に考慮することが重要である。
3 元請と下請全体の安全管理体制を整備して、統括安全管理を徹底すること
作業現場には、安全衛生推進者を選任し、元請事業場の指導援助のもと、安全作業を行うことが大切である。