送電線鉄塔の塗装作業のため昇搭したときに活線に触れ感電
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | その他の電気 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.100276
発生状況
この災害は、金属会社が所有する送電線の鉄塔の塗装工事中に感電したものである。この会社は、自家用の水力発電所を所有しており、そこから77,000ボルトで工場に送電しているが、災害は2 回線ある送電線の片側を停電して鉄塔の半分を塗装する作業で発生した。
当日、塗装工事の発注者である会社から3 名、元請け会社から1 名、下請け会社から被災者ら作業員6 名が現場に入り、発注者側が停電回線の検電と接地線の取り付けを行った後、発注者側の立会人の作業開始指示により被災者ら5 名の作業員が順次鉄塔に登った。
被災者は、先頭で鉄塔の最頂部まで登り、はじめに碍子に塗料が付着するのを防ぐ木綿のシートを取り付けようとしたときに、停電回線を誤認して活線となっていた碍子に接近して感電するとともに、衣服が燃え上がり、また、安全帯が燃えつきて約22メートル下の地上に墜落して死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 被災者が、活きている回線を作業を行う停電回線と誤認して、その碍子に触れ、または接近しすぎてしまったこと。
2 作業を行う鉄塔において電路の停電を確認しなかったこと。
3 作業開始前に作業手順の説明等が行われていなかったこと。
4 作業を指揮する者及び作業を監視する者が不在のまま作業を開始したこと。
5 作業員に対して感電の防止に関する十分な安全教育を実施していなかったこと。
対策
この災害は、金属会社が所有する送電線の鉄塔の塗装工事において感電したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業のため開路した電路が高圧または特別高圧であった場合には、検電器具により停電を確認するとともに、短絡接地器具を用いて確実に短絡接地を行うこと。
2 特別高圧の電路への接近限界距離を作業者に徹底すること。
3 特別高圧の電路に近接して塗装作業等を行うときには、接近限界距離を保つため見やすい箇所に標識或いは監視人の配置を行うこと。
4 作業指揮者を定め、作業の指揮を行わせること。
5 安全管理体制を整備し、安全教育等を実施すること。