ドラグ・ショベルと、後退してきたトラクター・ショベルとの間に挟まれる

業種 | 土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 30~99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 整地・運搬・積込み用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | ブルトーザー等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 整備不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100227
発生状況
この災害は、残土・伐採木の仮置場に置かれていたドラグ・ショベルのバッテリーを充電しようとしていたときに、その車両と突然後進して来たトラクター・ショベルとの間に挟まれたものである。災害が発生した日、被災者は、残土・伐採木の仮置場に置かれていたトラクター・ショベルのバッテリーが放電してエンジンが掛からなかったので、近くに置いてあったトラクター・ショベルのバッテリーを利用して充電することにした。そして、トラクター・ショベルのエンジンが掛かかったので、ドラグ・ショベルの右側に立って、ドラグ・ショベルにつないだブースターケーブルをバッテリーから外そうとしたとき、突然、トラクター・ショベルが後進して来て、ドラグ・ショベルとの間に挟まれたものである。
しばらくして後、仮置場に設置してあるドラグ・ショベルの右側の履帯とトラクター・ショベルの後部燃料タンク下部に身体を挟まれている被災者が、伐採木を仮置場に持って行った2名の作業員によって発見された。直ちに、救急車の出動を求め、被災者は救出されたがすでに死亡していた。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 トラクター・ショベルの前後進用レバーに何らかの外力が働き、レバーが中立位置から後進位置に動かされ、トラクター・ショベルが後進したこと。
2 ドラグ・ショベルとトラクター・ショベルとの間に被災者がいたこと。
3 トラクター・ショベルのエンジンを掛けたまま運転席を離れたこと。
4 トラクター・ショベルの運転席を離れる際、前後進用レバーのロックを使用しなかったこと。
5 トラクター・ショベルの運転席を離れる際、足踏み式ブレーキのロックをしなかったこと。
6 エンジンの掛かった車両に近接しての作業を単独で行ったこと。
7 バッテリーの保守点検が不十分であったため、余分な作業が必要となったこと。
対策
この災害は、残土・伐採木の仮置場に設備されていたドラグ・ショベルの右側に立っていた被災者が、当該車両と突然後進して来たトラクター・ショベルとの間に挟まれたものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 車両系建設機械のエンジン稼動中に、運転席を離れないこと。
なお、車両系建設機械の運転席を離れる場合は、エンジンを停止し、走行ブレーキを掛ける等の逸走防止措置をすること。
さらに、車両系建設機械の運転席を離れる場合は、前・後進切替レバーをロックすること。
2 稼動中の車両系建設機械付近で作業する場合は、当該機械に接触することにより危険が生ずる箇所に立ち入らないこと。
3 単独作業を行うことによって生ずる労働災害を防止するための体制を整備すること
4 作業の安全を確保するための必要な指導、及び危険な作業の禁止等の具体的な指示を行うこと。
5 作業開始前点検、月例検査を実施し、その記録を保存すること。
6 安全衛生教育等を実施すること。