道路工事現場で土砂を運搬してきたダンプカーが後進中、振動コンパクタを移動していた者をひく
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | トラック | |||||
災害の種類(事故の型) | 交通事故(その他) | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 地下鉄建設工事 | ||||
災害の種類 | 工事現場内における自動車等乗物全般 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.100077
発生状況
この災害は、道路工事において盛土材を運んできて後進中のダンプカ−に作業者が背後からひかれたものである。災害発生当日、3回目の盛土材を運んできたダンプカ−の運転手が現場に着いたとき、荷下ろし場所を指示する者の姿は見あたらなかったが、前回と同じ場所であろうと考え、現場入口でバックし、そのまま作業路を時速約10kmで後進していたところ「ガタン」と振動があった。
そこで、運転席から後ろを見ると、右後輪のところに人が倒れているので、急いで車を前進させ、降りて見ると頭が割れて血を流している被災者を発見した。
なお、被災者の脇には、アクセルは全開しているものの、エンジンが停止して燃料タンクがつぶれた振動コンパクタが転がっていたことから、被災者は、振動コンパクタで転圧しながら移動中、盛土材を積載して後進してきたダンプカ−に背後からひかれたものと考えられる。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 ダンプカ−がバック走行するにもかかわらず専任の誘導員を配置していなかったこと
2 ダンプカ−等重機械の作業路と作業員の通路等が区分されていなかったこと
3 ダンプカ−を後進させるにあたり、後方の確認が不十分であったこと
4 盛土搬入業者と作業段取りや誘導等について十分な調整をおこなっていなかったこと
5 振動コンパクタの振動音や国道の車両の走行音等により、ダンプカ−の接近に気付かなかったこと
6 元方事業者が、ダンプカ−の誘導手順等について関係請負人に適切な指導・指示を行っていなかったこと
対策
この災害は、道路工事において盛土材を運んできて後進中のダンプカ−に作業者が背後からひかれたものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 現場のそれぞれの工程における問題点を十分に検討のうえ、安全衛生管理計画を策定し、関係者に周知徹底すること。
2 ダンプ等車両系荷役運搬機械の誘導に専任の誘導員を配置すること。
3 車両系荷役運搬機械等の走行路と作業者の通行路等を区画し表示すること。
4 現場に出入りする運送業者をも含めて、関係請負人の作業についての打ち合わせを十分に行なうこと
5 元方事業者は、毎日の現場巡視を行い、関係請負人に対し適切な指導・指示を行うこと