ダクトの補強工事中ダクトの天井板が抜け墜落
| 業種 | 建築設備工事業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 1〜4人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建築物、構築物 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
| 災害の種類 | その他の機械設備から墜落 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
| 発生要因(人) | リーダーシップ | |||||
| 発生要因(管理) | 保護具を使用していない | |||||
No.100017
発生状況
この災害は、製鉄所構内の焼結炉のダクトで、腐食、劣化している個所の補強工事を行っていた際に発生したものである。当該ダクトは、焼結時に発生するガスを排出するものである。災害発生事業場の現場責任者の指示により、A、B、C、D、の4名は、ダクト上でケレン作業(ダクトの腐食・劣化部分のさびをはつる作業)やあて板溶接(その部分を補強するための溶接)を午前中より行っていた。その際、現場責任者から安全帯を使用するようにとの指示があった。
昼食後、ダクト上でDはあて板溶接作業を、Cはその近傍でケレン作業を、AとBは別の場所でケレン作業等を再開した。Dのあて板溶接が終わる直前、Dの背後にいたCがDに、ケレン作業が終わったので他の場所に移るようにと言った。Dは、残りはCが行うものだと思い、他の者が作業している方を手伝おうと、その場所を離れようとした。
その後、午後1時40分ごろ、突然Cがいたダクトの天井板の西側腐食部分が切れて、Cがダクト内に墜落した。Dは急いで事故を知らせ、ダクトを閉止し、Cをダクト上のマンホールから救出したが、事故発生約1時間40分後、Cは気道熱傷により死亡した。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 安全帯を使用しなかったこと
被災者が、作業中、安全帯を使用するよう指示を受けていたにもかかわらず、災害発生時、安全帯を使用していなかったこと。
2 不安全な状況で作業を行ったこと
被災者が、独自の判断で足場板を取り外して作業をするなど、不安全な状況で作業を行ったこと。
3 作業方法が確立されていなかったこと
ダクト上におけるケレン作業やあて板溶接等について、安全な作業方法、順序が十分に確立されておらず、これらを徹底していなかったこと。
4 作業指揮者が不在であったこと
被災者が、独自の判断で足場板を取り外すなど、作業指揮者の直接指揮下で作業が行われていなかったこと。
対策
この災害は、製鉄所構内の炉の結入側ダクトで、腐食、劣化している個所の補強工事を行っていた際に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 安全帯の使用
墜落の危険性がある高所で作業を行わせる際には、労働者に安全帯を確実に使用させる必要がある。
2 安全教育の実施
労働者が独自の判断により不安全な状況で作業を行わないように、安全教育を行うことが必要である。
3 作業方法の確立
ダクト上におけるケレン作業等を行う場合には、安全な作業方法及び順序を検討、確立し、関係労働者に周知徹底する必要がある。
4作業指揮者の配置
労働者が不安全な行動をとらないよう、作業指揮者の直接指揮の下で作業を行わせる必要がある。
厚生労働省