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労働災害事例

トレーラーの積荷の鋼材が運転席を押しつぶす

トレーラーの積荷の鋼材が運転席を押しつぶす
業種 一般貨物自動車運送業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 金属材料
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.100

発生状況

(1) 被災者は災害発生当日、最大積載荷重40トンの大型トレーラーを運転して、県道、制限速度(災害発生場所の制限速度は、30km)を50kmで走行していた(チャート紙にて確認)。
(2) その時の積荷は、板厚1.2cmの鋼板を30cm角のパイプ状にした鋼材で、長さ13mのもの7本と、長さ16mのものが12本、総重量は32トンであった。
(3) 災害発生場所付近の前方はT字路になっており、左折した道路では排水路の改修工事が行われ、仮設の通路が設けられていた。
 工事は下請業者が行っており、ガードマンが仮設通路から、県道に出て行く車の交通整理に当たっていた。
(4) 被災者のトレーラーが前記の工事現場に差しかかったとき、突然前方T字路の左側道から白いワゴン車が飛び出してきて、被災者の車の前方をかすめながら右折して行った。
(5) 被災者は衝突を避けるため、急ブレーキをかけたが、このとき積荷の鋼材が前方に大きく崩れて、事故車両の運転席部分を押しつぶした。
 鋼材は、運転席の後部より最大112cm運転席内部にめり込んだ。
(6) 運転していた被災者は、押しつぶされた運転席後部とハンドル部分との間にはさまれ、すぐに病院に運ばれたが間もなく死亡した。
(7) 飛び出してきた白いワゴン車は、工事現場で交通整理をしていたガードマンの指示に従わず侵入してきた。そして、事故車両に接触することなく右折、そのまま県道を走り去ってしまった。
(8) 被災場所の道路上には、急ブレーキの際に出来たスリップ痕が無数に認められた。
(9) 積荷の鋼材は3段積みにされていた。
 ワイヤロープ及び、通称ガッチャと呼ばれる荷締機で、荷台の前後2か所で固定され、シートで覆われていた。
 また、荷台上にある鋼材固定用のフックのうち、後部の固定フックが破損していた。

原因

(1) 「特殊車両の通行許可」を得ずに運送を行った。また、事故発生箇所が工事のため、制限速度30km/hのところを50km/hで走行した。
(2) 積荷である重量32トンの鋼材を前後2か所しかワイヤロープで保定していなかったため、急ブレーキにより鋼材が前方に滑り、運転席を押しつぶした。
(3) 「自動車運転者の労働時間等の改善基準」告示を超えて運転業務に従事していた。

対策

(1) 法令に定められている手続きに従った適切な運行計画を作成し、運搬作業を行う。
(2) 積荷については、その形状、重量、性質等に応じた適切な保定を行う(参考資料「貨物積載方法の手引き」全日本トラック協会編等)。
(3) 「自動車運転者の労働時間等の改善基準」告示の範囲内で運転業務に従事させる。