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労働災害事例

山林の地すべり防水工事現場における横孔ボーリング中の巻き込まれ災害

山林の地すべり防水工事現場における横孔ボーリング中の巻き込まれ災害
業種 その他の土木工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の建設機械等
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
建設業のみ 工事の種類 その他の土木工事
災害の種類 くい打機、くい抜機、ボーリングマシン等
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.955

発生状況

本災害は、山林の治水事業における横孔ボーリング等工事の現場で発生したものである。
 当該工事は、山林の法尻において横孔ボーリングを行い、水抜き用塩ビ製パイプを設置し、法面の崩壊を防止するもので、通常は2人1組でボーリングマシンを使用して作業を行っていた。
 このボーリングマシンは、ドリルを横軸に回転させ、地盤を掘削するタイプのもので、その掘削作業装置は、直径4cm・長さ3cmの中空肉厚パイプ(ボーリングロッド)の先端に、ドリルカッターが付けられたもので、深く掘り進んでいくために、ねじ込み式で順次、ボーリングロッドを継ぎ足していける構造になっていた。また機機の本体は、ボーリングロッドより約60cm長い作業ロッドを有し、ロッドカップリングを介してこれとボーリングロッドを接続し、軸回転力及び推進力を伝達する仕組みであった。
 この工事におけるボーリング作業は、通常、次のようにして行われていた。
(1) 3m掘り進んでロッドカップリングが孔口に接近するごとに、ロッドカップリングの部分でロッドを切り離し、作業ロッドを引き戻して次のボーリングロッドを継ぎ足していく。
(2) 地中ボーリングを進める際、地盤が脆弱であるなど、掘った孔壁を確保する必要がある場合は、ケーシングパイプを挿入する。
 災害発生の当日、被災者であるAはBとともに午前中、別の現場で作業を行った後、正午過ぎに木件現場に到着した。現場ではCが1人で受持ちである作業箇所において、ケーシング抜き(地中ボーリングの際挿入したケーシングパイプを回収する作業)を行っており、それを知ったAはBをCの作業補助として残し、その作業箇所から、40m程離れている自分の受持ち作業箇所へ行った。
 約1時間後、現場代理人であるDが木件現場のパトロールにやってきて、BとCの作業箇所で打合せをしていたところ、Aが作業している箇所に設置しているボーリングマシンが黒煙を吐いているのを発見し、CとDは、異常事態の発生に気づいた。
 2人があわててAの作業箇所に駆けつけて行き、Aが、ボーリングマシンの回転するロッドにうつ伏せにもたれかかった姿勢で巻き込まれ、被災しているのを発見したものである。
 なお、被災当日のAの服装は、作業着の上にナイロン製ヤッケを着、長靴履きであった。

原因

(1) 直接原因
 作業者の行動範囲内で掘削ロッドが露出して回転していたため、ロッドカップリングの周表面に作業者の衣服が引っ掛かり巻き込まれたこと。
(2) 間接原因
 [1] 十分な広さの作業床が確保されておらず、かつ、ボーリングマシンの作動部分を回避するための安全通路が設けられていなかったこと。
[2] ナイロンヤッケのように体に密着せず機械に引っ掛かりやすい衣服を着用していたこと。
[3] ボーリングマシンの操作レバーが、安全で操作しやすい位置に設けられていなかったこと。
[4] 異常事態発生時に即時対応するための二人作業等の措置がとられていなかったこと。

対策

(1) 土木機械の回転する軸で、接触することにより作業者に危険を及ぼすおそれのある突起等の部分には覆い等を設けること。
(2) ボーリング等一連の作業を進めるにあたり、作業者の行動範囲が機械の動作部分に接触しないよう安全通路も設けること。
(3) 作業がしやすく、かつ、体に密着した服装を着るとともに、首巻き手拭い等はさせないこと。
(4) 操作レバーと機械の作動部分には安全な距離を設ける等により、安全な位置からレバー操作ができる構造とすること。
(5) 作業にあたっては、必要とされる人員を配置すること。