広告塔の改修工事中に丸太足場が風圧で倒壊

業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | - | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 足場 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 足場から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.440
発生状況
この災害は、ビルの屋上の塔屋に設けられている広告塔の部材交換、塗装等を行う作業において、丸太足場が風圧により倒壊して、作業者が墜落したものである。災害発生当日は、鋼製の看板文字を広告塔に取り付ける作業を行う予定で、8層8スパン(幅約18m、高さ約11m)に組んだ丸太足場を使用していた。
作業は、足場に3人が上がり、看板文字の上方と下方をそれぞれ1人で支えて、他の1人がビス止めをするものであった。
当日は朝から風が強く、平均風速は10~15m/秒であった。午後の作業を開始し、看板文字をロープで足場上につり上げていた瞬間に、突風があったため、丸太足場の建地(縦方向の丸太の部材)のつなぎ部分(重ね合わせつなぎ)が「くの字」に変形して、東面の足場のうち北側半分が倒壊して、足場上の作業者3名がビルの屋上に墜落して、負傷した。
作業に用いた丸太足場は、図のとおり、一側足場と称されているもので、作業床がなく水平に渡されている丸太に足を掛けて作業を行うものである。
その構造は、ビルの塔屋のパラペットに「はね出し丸太」を置き、この上に丸太2本をつないだ建地を垂直に2m前後の間隔で立て、建地の上端は、広告塔の鉄骨と腕木(丸太)で固定することを原則としていた。また、全面にわたって、塗装作業用のネットが張られていた。
なお、足場の倒壊は、建地のつなぎ部分またははね出し丸太の破壊から始まっている。
原因
[1] 足場は、水平かつ堅固な個所の上に建地を設置する必要があるが、この現場では、張り出し材(はね出し丸太)の上に足場を設置しているにもかかわらず、その強度が不足していたこと。また、災害が発生した箇所以外では、はね出し丸太を支柱で補強していたが、倒壊した個所では補強がなされていなかったこと。
[2] 災害が発生した東面には、足場を安定させるための十分な数の壁つなぎ等が設けられていなかったこと。
[3] 丸太足場の部材の一部が老朽化しており、はね出し丸太等の部材の強度が落ちていたこと。
[4] 以上のように、本件の丸太足場の構造に問題があるにもかかわらず、風の強いときに作業を行い、塗装作業用のネットが風圧を受けたこと。
対策
[1] 強風(平均風速10m/秒以上)の場合は、高所作業を中止するとともに、シート等を取り外すこと。[2] 建地は、屋上等堅固な構造物に直接設置すること。やむを得ず張り出し足場とするときは、張り出し材を水平かつ堅固なものとするため、その材質、構造等を十分検討すること。
[3] 足場には、労働安全衛生規則で定められている所定の壁つなぎ等を設けること。
なお、足場の組立図を必ず作成して、組立てに当たっての誤りがないよう管理すること。
[4] 足場を設ける場合には、あらかじめ風荷重を考慮した強度計算を行うこと。
[5] 丸太足場については、組立て前および作業開始前に部材の損傷等について入念に点検すること。
[6] 高所作業を行う場合には墜落災害を防止するため、原則として作業床を有する本足場を設置すること。
なお、立地条件等の都合でやむを得ず一側足場を使用する場合には、必ず作業者に安全帯を使用させること。