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この災害は、地下鉄工事現場に建設資材である鉄筋を搬入し、荷卸し作業中に発生したものである。 被災者の所属会社は、親会社の鉄筋加工工場から建設現場へ鉄筋を運ぶことであり、被災者は、前日に鉄筋加工を行っている親会社に行ってクレーン積載型トラックに鉄筋を積み込んでおき、被災当日の午前8時30分頃に災害発生現場である地下鉄工事現場に到着した。 現場に到着した被災者は、トラックを後進させて、資材搬入口の養生枠にトラックの最後部を密着させて停車した。 荷卸し作業は、鉄筋工事の下請の作業者と被災者が共同で行なうことになり、資材搬出入用の橋型クレーンを下請業者の作業者が操作して搬入作業を開始した。 この作業を午前中に引き続き午後も行っていたが、午後2時頃、被災者がトラック荷台の最後部と接している開口部の養生枠にかけていた右足を滑らせ、開口部から10.0mの地下に墜落した。 直ちに病院に収容し治療したが、午後3時30分頃、頸椎骨折を伴う頸髄損傷により死亡した。
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この災害は、地下鉄工事現場に建設資材である鉄筋を搬入し、荷卸し作業中に発生したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。 災害の直接の原因としては (1) 資材搬入場所が狭かったこと。 (2) 開口部の墜落防止措置が不十分であったこと。 (3) 作業の指揮命令系統が不明確であったこと。 (4) 安全管理が不十分であったこと。 なお、親会社の安全管理に関する指導・援助も重要であるが、運送単価、積載量、運転者の賃金単価、損害賠償等を主とした「輸送契約」による請負関係のみであった。
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この災害は、地下鉄工事現場に建設資材である鉄筋を搬入し、荷卸し作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 1 安全衛生管理体制の確立 小規模の事業場においても事業者自らが、経営者としての責任を自覚し安全衛生管理体制を確立するとともに、具体的な安全活動を行なう。 2 元方事業者の統括管理 元方事業者は、下請け事業者の自主的管理と併せてきめ細かな統括管理を行う。 3 親企業の指導の強化 親企業は、単に運搬数、到着時間等の指示のみでなく、荷卸し場所の状況、荷卸し作業の分担等について指導、情報提供等を行う。 4 安全衛生教育の実施 雇い入れ時をはじめとして必要な安全衛生教育を実施する。 5 荷卸し作業等の安全化 荷卸し場所の確保が困難な場所における作業方法、手順を作業者に徹底する。
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