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この災害は、他社のコンテナ積み卸し作業現場(コンテナヤード)で共同作業中に発生したものである。 A社の班長は、午前中から貨物鉄道で到着したコンテナを最大荷重10トンのフォークリフトで構内に卸す作業を行っていたが、午後5時30分頃、同社のトラック運転手に「荷が一袋足りないので、上屋から持ってきてコンテナに入れてくれ」と指示した。 運転手は、上屋で荷を探したが、見当たらなかったので、「どこにあるか分からない」と班長に報告し、事務所へ引き揚げた。 被災者は、その状況を見聞きしていて、自分で上屋へ荷を探しに行き、破損していない袋を探し出し、袋をパレットに載せ、フォークリフトでコンテナ積込み場所まで運搬した。 次いで、被災者は、当日の運転日報を記録していた副班長に「コンテナの中へ荷物を1つ上げたいので、自分がパレットに乗るからフォークリフトを運転してほしい」と依頼し現場に向かった。 現場に到着後、被災者がパレットに乗り込み、副班長はフォークリフトの運転を開始した。 フォークを高さ2m50cmまで上昇させ、次いでコンテナの屋根にパレットを乗せようとしてフォークリフトを前進させたときに、被災者がパレット上から墜落した。
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この災害は、他社のコンテナ積卸し作業現場(コンテナヤード)で共同作業中に発生したものであるが、その原因としては次のことが考えられる。 災害の直接の原因は、2段積みされたコンテナの上に被災者を運ぼうとして、フォークリフトの用途外使用をしたことである。 その背景としては、高い場所での作業が多いにもかかわらず、安全に昇降する設備等を設けていなかったことが挙げられる。 また、コンテナ屋根上の作業あるいは2段目のコンテナ内作業が、墜落防止措置が必要な高所作業であることの認識がなく、安全対策を行っていなかったことがあげられる。 さらに、被災者の所属していた会社は、大手運送会社の仕事を専属的に行っており、作業の場所も親会社の構内であり、作業指揮等についても親会社に依存していた。 なお、本社においては、安全管理者、衛生管理者、産業医の選任、安全衛生委員会の設置等一応の組織体制はあったものの、具体的な活動はほとんどなされておらず、コンテナ作業についてのマニュアル等も整備されていなかった。
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この災害は、コンテナ積卸し作業現場(コンテナヤード)で共同作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 親企業が主導する安全衛生管理 | | (1) 関係者で協議する協議会等を設置し、定期的に安全衛生に関する検討、協議を行う。 (2) 荷の積卸し場所での混在作業においては、事前の連絡・調整を確実に実施し、関係労働者全員に周知する。 | 2 事業者責任としての安全衛生管理 作業の指揮等が実態上親会社によって行われる場合であっても、必要な安全措置、安全教育について事業者の責任で実施する。 3 安全衛生教育の徹底 作業者に対して、取り扱う荷・作業の種類等に伴う危険有害性について安全衛生教育を行う。 4 作業マニュアル等の整備 使用機材、作業の手順、必要な安全対策等を含めた作業マニュアルを作成する。 5 昇降設備等の準備 専用のタラップ等安全な昇降設備をあらかじめ準備しておく。 6 職場巡視の実施 安全管理者の職務である作業場等の巡視を確実に実行する。
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