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この災害は、杉及び檜の山林において、伐木作業中に発生したものである。 杉及び檜の山林の木を伐倒し、機械集材装置を用いて搬出する仕事を請け負った会社は、伐採面積が20ヘクタール、出材量にして600m3の仕事を約2年半かけて行なうことになっていた。 今回の作業は、災害発生当日の1週間前から開始されていて、立木の伐倒作業と機械集材装置の設置が並行して行われ、2日前には全施設の設置が完了した。 当日の午前中に、9名の作業員で機械集材装置の試運転と小規模な伐倒作業を行ったあと、午後からは本格的に機械集材装置を使って集材・搬出作業を行うことになった。 午前中には、機械集材装置の試運転などが順調に進み、午後も各人がそれぞれの分担位置について作業を行っていたとき、山頂方面で伐倒作業を行っていた作業員の1人から、助けを求める声が聞こえてきた。 そこで、現場監督と玉掛け作業員の2人が、現場へ行ってみると、伐倒作業員が左の大腿部から出血して、生気のない状態で座り込んでいた。
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この災害は、杉及び檜の山林において伐木作業中に発生したものであり、単独作業であったため詳細は不明であるが、その原因としては次のことが考えられる。 1 作業の足場が不安定であったこと 被災者が作業を行っていた現場付近の状況は、かなりの傾斜地であり、しかも多数の木が重なり合うような状態で伐倒されており、枝払い作業中に、または、移動しようとした時に、足を滑らせたか、枝か潅木などに足が引っかかったことが考えられる。 2 緊急時の連絡方法が適切でなかったこと 災害発生の直接の原因ではないが、被災者は自分で助けを求めてきており、トランシーバーなどを携帯しておれば、より早く救助することができたものと考えられる。 3 救急用具等を持参していなかったこと この現場で常備していた救急用品は、下土場に駐車してある通勤用の車に積んだままで、作業現場に持参していなかった。
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この災害は、伐木・造材のため単独で作業を行っていた作業員が、伐倒木の枝払い作業中にチェーンソーで自分の左の大腿部を切ったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
1 作業手順等の徹底 | | (1) 伐倒木などが重なりあった場所で枝払い作業を行うときには、材の安定を確認し、足場を確保してから行うこと。 (2) 傾斜地での枝払い作業は、原則として山側に位置して行うこと。 (3) 転倒、転落などのおそれのある材の上では、枝払い作業は行わないこと。 (4) 跳ね返るおそれのある『ため枝』は、のこ目を入れてから、枝払い作業を行うこと。 | 2 緊急連絡体制の整備等 | | (1) 災害発生時に備え、緊急連絡体制の整備を図ること。 (2) 災害が発生したときに備え、被災者の移送の方法を定めておくこと。 (3) 災害が発生したときに備え、救急用品を現場内に常備しておくこと。 |
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