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この災害は、顧客から注文を受けた建築用鋼板等をトラックで運搬し、荷台から荷を降ろす作業中にドラグショベルに挟まれたものである。 被害者は、所属事業場が製作した鋼板等をトラックで配送することになり、顧客先には午後1時頃到着した。 この時、同じ顧客先で電気設備の修繕等を行っている個人事業者Aが昼食を終えて出てきて、被害者とともに運搬してきた鋼板等を人力で降ろすことになった。 しかし、重いのでドラグショベルを使用して降ろすことに話が決まったが、一番上に載っていた鋼板にワイヤーが掛けづらかったので、再び人力で降ろすことに変更し、被害者はトラックの荷台上で鋼板を降ろす準備を始め、Aはドラグショベルのバケットが邪魔になるので、旋回させるためレバーを操作した。 Aは、ドラグショベルのブームを左に旋回させたが、バケットが丁度トラックの荷台の端まで来たときに、ブームが逆に右旋回を始め、荷台上で荷降ろしの準備をしていた被害者にバケットが払うような状況で激突し、被害者は通称「鳥居」とバケットとの間に挟まれた。
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この災害の直接の原因は、ドラグショベルのブームが途中から逆旋回したことにあるが、ドラグショベルの操作者はレバーを左旋回に操作したのみと申し立てている。 しかし、レバーの操作を運転席の外から行なっていたため、ブームの左旋回にともなって自分の体が運転席とドラグショベルのクローラとの間に挟まれそうになり、咄嗟にレバーを押し(右旋回方向)てしまい、さらにその旋回により体が振られたためにレバーを押し続けてしまったことが原因と考えられる。 その他、次のようなことが原因としてあげられる。 1 荷降ろし作業の指揮者の不在 2 ドラグショベルの管理不良 3 玉掛けワイヤーの管理不良 4 安全管理体制の不備
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この災害は、ドラグショベルのブームを旋回させたところ、途中から逆旋回し、被害者をバケットとトラックの鳥居との間で挟んでしまったものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。 1 作業手順、作業方法の決定、作業の直接指揮、関係者以外の立ち入り禁止等を行なう。 2 車両系建設機械等の用途外の使用を禁止するとともに、エンジンキーを抜き取っておく。 3 玉掛けには専用のワイヤーを使う。 4 各事業者は、事業の種類、作業の種類等に応じた安全衛生教育を定期に、或いは、随時に実施する。 有資格者に再教育をする。 5 販売業等であっても安全管理体制を整備し、計画的に労働災害防止活動を行なう。
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