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この災害は、倉庫内に丸鋼材のはいから、出荷に必要な鋼材を抜き取る段取り作業中に、はいの上を歩いているときに発生したものである。 この倉庫には、各種の特殊鋼材がストックされており、鋼材の請出しを行うために、運転室付きのクラブトロリー式天井クレーン(つり上げ荷重5.05t)が設置されている。 災害発生当日は、午前8時から従業員全員による朝礼が事務所内で行われ、その後、倉庫担当責任者と作業員8名が倉庫内の詰め所に移動し、始業時ミーティングが行われた。 始業時ミーティングでは、倉庫担当責任者から、当日の出荷予定、作業の段取り方法、作業上の注意事項などの説明が行われた。 始業時ミーティング後、被災者は、クレーンの運転を担当する作業員Aと組んで、直径250mm、長さ6mの丸鋼材2本を出荷するために玉掛け作業を行うために、倉庫内の丸鋼材が目落とし積みにはい積みされた場所に向かった。 このはいの中から出荷に必要な鋼材2本を抜き出すため、作業員Aは天井クレーンの運転室に入り、被災者からの合図を待っていた。 被災者は、出荷する鋼材の選定を行い、玉掛け作業を行うために、丸鋼材のはいに北側から上がり、はいの上を移動しているときに、1本の丸鋼材が転がり落ち、その鋼材に頭部をはさまれたものである。
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この災害は、倉庫内で丸鋼材のはいから出荷に必要な鋼材を、天井クレーンにより抜き取るための段取り作業を行っていたときに発生したものである。 災害が発生した倉庫内は、多品種の鋼材を取り扱うため、一つのはいに径の異なる多品種の丸鋼材が入り交じり、積卸しがひんぱんに行われる状況のもとで発生した災害であるが、その原因として、次のようなことが考えられる。 1 径の異なる多品種の丸鋼材が、一つのはいに積み上げられていたこと。 2 はいの上部や中間部に、目落としからはみ出た丸鋼材があり、転がりやすい状況にあったこと。 3 前回行われた出荷作業後、はいの状態の安全を確認しないままの状態で、次の作業が行われたことこと。 4 はい作業の危険性について、十分に教育が行われていなかったこと。 5 同じような作業が日常的に行われているにもかかわらず、作業手順がマニュアル化されていなかったこと。 6 労働安全衛生法に定められたはい作業主任者の指揮のもとに作業が行われなかったこと。
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この災害は、倉庫内で丸鋼材のはいから出荷に必要な鋼材を、天井クレーンにより抜き取るための段取り作業を行っていたときに発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 1 はい付けはできるだけ、異なるサイズごとに行うこと。 2 はいの高さは、できるだけ低くすること。 3 はい崩れ防止のため、最下部から崩れないように、十分な歯止めをすること。 4 単独作業を行わず、はい作業主任者の直接指揮のもとに作業すること。 5 作業開始前および終了時に、はいの安全点検をすること。 6 はい上での作業は、鋼材の転げ落ちなどの危険のない場所で行うこと。 7 作業を標準化した安全作業マニュアルを作成し、はい作業に従事する者に対して、安全作業マニュアルの周知徹底のための教育を実施すること。 8 労働安全衛生法で定められた必要な資格者を作業ごとに配置すること。 9 各クラスの管理監督者の安全管理上の役割分担およびその責任区分を明確化すること。 10 各クラスの管理監督者は、不安全行動または不安全状態が看過されないように職場巡視を毎日実施すること。
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