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この災害は、ごみ焼却場の定期点検、補修作業中に発生したものである。 災害は、ガス冷却塔のレンガに付着している灰の除去作業(ライニング)中に発生した。 この日、被害者は、職長と2名で冷却塔の中で冷却塔下部のシュート部分のライニングのために足場を組み立て、続いてこの足場上で同じく職長と2名で「はつり工具(チッパー)」を使用して固着した灰をかき落としていたところ、「はつり工具」の先端部分の「チズル」を止めていたネジが、かき落とし作業中の振動で緩んでいて「チズル」が下のベルトコンベアに落ちてしまった。 そこで、被害者は、足場を降りて「チズル」を拾いに行ったが、かき落とした灰を搬送するためのベルトコンベアを稼動させていたため、コンベアの補強材とコンベアに付いているスクレーパーとの間にはさまれ死亡した。
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この災害の直接原因は、ベルトコンベアの下に落ちた「はつり工具」を拾うため、コンベアを停止せずに被災者が立ち入ったことであるが、被災者Yは稼働中のコンベアの速度が遅くスクレーパーにはさまれることはないのでコンベアの運転を止めずできると思いこんだものと考えられる。 今回のように、作業中にチズルなどの工具を落とし、やむお得ずコンベア付近に立ち入ることは過去にもあり、その場合には「コンベア付近に立ち入る際には、必ずコンベアの運転を停止すること。」と元請けの責任者や被災者の所属事業場の職長Aが関係作業者に話していたとのことであるが、具体的な形で関係作業者に指示されておらず、また、作業手順も作成されていなかった。 さらに、職長Aは、被災者Yがコンベア付近に立ち入ることを告げられながら、コンベア停止の措置を指示し、あるいは自ら行わなかった管理上の問題もあげられる。 間接原因としては、チズルが振動により外れ易い構造で一日に数回も同様の現象が発生しているのに、工具の改良を行わず、あるいは足場に落下物防止の措置をしていなかったことがあげられる。
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この災害は、ゴミ焼却炉の定期点検で冷却塔の下部シュート部分に付着した灰の除去作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。 1 「チズル」が脱落し、落下しないよう足場に手すりの設置、巾木の設置、ネットの設置等 2 「チズル」が脱落しない他の工具の採用、脱落しても下方に落下しない治具の開発等 3 作業を監視人する専任者の配置 4 作業箇所近くに非常停止スイッチの設置 5 非定常作業等に関する安全な作業手順の策定と周知 6 危険有害作業に関する安全衛生教育、再教育、新規入場者教育等の実施 7 統括安全管理体制の整備
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