杭打機のクローラのシューに敷鉄板がはさまり反転し、その下敷きになる
業種 | 鉄道軌道建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 基礎工事用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄道軌道建設工事 | ||||
災害の種類 | くい打機、くい抜機、ボーリングマシン等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不意に動かす |
No.1100
発生状況
この災害は、新幹線建設工事のうち、高架橋新設、路盤新設及び横断地下道路新設工事中に発生した。この工事は、共同企業体で行われ、被災者が所属していた企業「T社」は、この共同企業体の一次下請けとして、仮設土留め工事を請け負っていた。
災害発生当日、T社の作業員3名の作業は、5日後に杭打機を使用してのH鋼の打設・鋼矢板の圧入作業の準備として、杭打機本体とその部品及び機材を現場に搬入することであった。
午前中は、災害発生現場である橋脚設置予定場所の整理とこの場所がぬかるんでいたので、鉄板3枚を敷く作業を行った。
午後からは、杭打機本体をトレーラーから降ろし、南側空き地に停止させ、必要な部材及び機材の荷降ろしを行った。
午後1時50分頃、杭打機を現場内の他の場所に移動するため、杭打機の運転手が自走運転をして鉄板上に杭打機を一旦停止させ、他の2名と当日の作業の打合わせを行った。
打合わせ終了後、再度杭打機を現場東側の空き地に移動するため、右旋回を始めたところ、「ドスン」という音がしたので、杭打機を誘導していた者が杭打機を停止させ、後方に回り込んでみると、被害者が鉄板の下敷きになっているのを発見した。
原因
この災害は、杭打機を移動中、杭打機のクローラに、敷いてあった鉄板がはさまり、これが反転したため、近くに居た作業員がその下敷きになったものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。[1]立ち入り禁止区域の設定、表示等を行わなかったこと。
[2]合図、確認なしに杭打機を旋回させたこと。
[3]誘導員を配置しなかったこと。
[4]現場責任者が不在であったこと。
対策
この災害は、杭打機を急旋回した際に、杭打機のクローラのシューが地面に敷いてあった鉄板を噛み込み、鉄板を反転させたことが直接の原因となったものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 地質調査等の実施と作業計画の策定
車両系建設機械を用いて作業を行なう場合には、地質、地形等について調査し、その調査結果の基づき、適正な作業計画を策定すること。
2 不同沈下の防止と誘導者の配置
地盤の不同沈下を防止するため、鉄板等を敷くとともに、作業中の状況変化等を監視すること。
また、機械を移動させるときには、誘導者を配置して誘導すること。
3 立入禁止区域の設定等
接触による危険を防止するため、運行経路、作業範囲を特定するとともに、立入禁止区域の設定等を行なうこと。
4 車両系建設機械の検査、点検の徹底
5 安全作業マニュアルの策定
6 安全管理体制の整備
7 安全教育の徹底