橋梁工事においてワイヤロープ巻き取り中、吊りチェーン留め金具が破断し、落下したワイヤロープで頭部を直撃
業種 | 橋梁建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 玉掛用具 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 橋梁建設工事 | ||||
災害の種類 | 用具、荷、取り付け前の部材等が飛来・落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械、装置、工具、用具等の選択を誤まる |
No.1096
発生状況
この災害は、橋梁の掛け替え工事において、斜吊り鉄塔から上弦材を吊っているワイヤロープを撤去する作業中、吊りチェーンを用いてワイヤロープをアンリーラー(巻き取り機)のドラムに巻き取っていたときに、吊りチェーンの留め金具が破断し、ワイヤロープが落下し、ワイヤロープを巻き取り作業を行っていた労働者の頭部に激突し、被災者が死亡したものである。当日は、橋の中央部下流側のワイヤロープをアーチ上弦材側から引っ張り、次に吊りチェーンをワイヤロープに3重巻きにして移動式クレーンのフックに掛けて吊り上げ、ワイヤロープをアンリーラーでドラムに巻き取る作業中であった。
被災者は、巻き取りに際し、アンリーラーのドラムにワイヤロープが乱巻きされないように手で揃えるとともに、クレーンの吊り具の上下操作の合図をしていた。
午後4時10分頃、ワイヤロープを吊っていたチェーンの留め金具(ハイカップリング)が破断し、ワイヤロープが落下し、下にいた被災者の頭部に激突し、被災者は頭から出血し意識不明となった。救急車で病院に搬送され、診察、手術を受けたが、1週間後に脳挫傷により死亡した。
原因
この災害は、橋梁の掛け替え工事において、斜吊り鉄塔から上弦材を吊っているワイヤロープを撤去する作業中、吊りチェーンの止め金が破断し落下して、ワイヤロープを巻き取り作業を行っていた労働者に激突したものであるが、この災害の原因としては次のこと等が挙げられる。1 本災害の直接的原因 | |
1) 吊りチェーンの留め金具(ハイカップリング)が破断したこと 2) 移動式クレーンでワイヤを吊り上げる際、吊り上げられたワイヤの下に労働者を立ち入らせたことである。 | |
2 本災害の間接的な災害要因 | |
1) 移動式クレーンでワイヤを吊り上げる際に、呼び径の小さい吊りチェーンを使用したこと 2) 特定元方事業者が、関係請負人に対して、移動式クレーンでの作業に係る労働者の配置についての指導を行わなかったこと |
対策
この災害は、橋梁の掛け替え工事において、斜吊り鉄塔から上弦材を吊っているワイヤロープを撤去する作業中、吊りチェーン留め金が破断し落下して、ワイヤロープを巻き取り作業を行っていた労働者に激突したものであるが同種災害の防止のためには、以下のような対策の徹底が必要である。まず、現場管理については、
(1) 吊りチェーンを使用し、移動式クレーンでワイヤを吊り上げるときには、吊り上げたワイヤの下に労働者を立ち入らせないこと。
が必要である。
また、作業方法に関しては、
(2) 本件のようにワイヤを移動式クレーンで吊り上げるときは、適格な玉掛け用具を使用すること。
(3) 吊りチェーンを使用するときには、荷重に耐えられる呼び径の大きい、適格な吊りチェーンを使用すること。
が必要である。
間接的災害原因に対する対策として、特定元方事業者が、関係請負人に対して、移動式クレーンでの作業に係る労働者の配置について指導を行うこと。
等が挙げられる。