ずい道内でバッテリーロコから鋼車が離脱し暴走
業種 | トンネル建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 軌道装置 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | トンネル建設工事 | ||||
災害の種類 | バッテリーカー、トロ等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 安全の不確認(以前の) | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.1090
発生状況
この災害は、シールドマシンによるずい道の掘削工事中に発生したものである。ずい道は、泥土圧式シールド工法(長さ489m、直径1.8m)で、2直2交替制(各直5名体制)で行なわれ、実際の作業は第3次の下請会社が担当し、シールドマシンによる切羽の掘削、セグメントの建込み、バッテリーロコと鋼車によるずり運搬、立坑でのずり出しの作業を行っていた。
災害発生当日、2直目の組は、20時から作業を始め、0時20分頃には一段落し、休憩に入ったが、バッテリーロコの運転手だけは立坑でバッテリーコロと鋼車を2両編成に組直したのち、休憩所に上った。
午前1時になったので仕事を再開するため、セグメント工(2人)、元請の測量係員、シールドマシンオペレーターの4人がずい道坑内を切羽まで歩いて入った。
バッテリーロコの運転手は、立坑のところでバッテリーロコに乗り込み、鋼車を後押しの形でずい道に入って行ったが、坑口付近にさしかかったとき、突然、鋼車がバッテリーロコから離れて、4%の下り勾配のあるずい道内を切羽に向って走り出した。
そのため、鋼車は坑口から約59m地点で、先に入坑した4人のうちセグメント工1人と接触し、さらに暴走して切羽付近にいた元請の測量係員(即死)に乗り上げ、シールドマシンオペレーター(休業2ヶ月)に衝突して脱線し、坑口から約109mの付近で停止した。
原因
この災害は、シールドマシンによるずい道の掘削工事中に発生したものであるが、その発生原因としては次のことがあげられる。1 直接的原因
バッテリーロコの運転手が、休憩前にトラバーサを操作して、バッテリーロコと鋼車の2両編成に組直した時、連結器の連結穴に連結ピンを差し込むのを忘れていた。
そのため、休憩後、バッテリーロコに乗り込み鋼車を後押しして入坑した時に、坑口から切羽に向って4%の下り勾配であったため、鋼車が連結器部分から離れ、暴走して被災者らに接触・衝突した。
2 間接的原因
坑口から切羽の車止めまでの軌道内は、人と車両の通行が共用となっており、人がいるときは車両の進入禁止、車両運行中は人の立入禁止というルールになっていたが、バッテリーロコの運転手は、軌道内に人が通行していることを知りながら車両を入坑させた。
また、シールドマシンオペレーターとバッテリーロコの運転手は、入坑可能な状態及び入坑前にインターホンでそれぞれ相互に連絡するルールとなっていたが、災害発生時にはこの連絡合図を行わなかった。
対策
この災害は、シールドマシンによるずい道の掘削工事中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のようなことを徹底する必要がある。1 車両の連結を確実に行なうこと
鋼車とバッテリーロコとの連結器の連結ピンを確実に連結穴に差し込むこと。
そのためには、バッテリーロコの運転手に十分な安全教育行なうとともに、立杭に入った時点でロコ運転手又は現場責任者によるダブルチェック体制をとる必要があること。なお、切羽においてはシールドマシンオペレーターに同様の確認を行わせること。
2 連絡合図の方法を徹底すること
「人の通行と車両の同時運行禁止」のルールや「切羽と立杭の間のインターホンによる連絡合図」のルールは、狭いずい道において作業を行なう場合に必ず守らねばならないことである。
それを徹底するためには、工事責任者が必ず入坑時、退坑時のチェックを行ない、作業者が所定の作業場所についたことを確認してから作業を開始させること。
また、切羽と立杭との連絡合図についても複数の作業員が相互に確認する体制をとらせること。
3 安全教育等を徹底すること
元請と関係請負者が一緒になって安全ルールの見直しを行うとともに、その結果に基づいて安全教育を徹底すること。