ボーリングマシーンで温泉の掘削作業中、ロッド吊り上げのウインチに巻き込まれる
| 業種 | その他の土木工事業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 1〜4人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の建設機械等 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
| 災害の種類 | くい打機、くい抜機、ボーリングマシン等 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
| 発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
| 発生要因(管理) | 危険場所に近づく | |||||
No.1089
発生状況
この災害は、深さ約30メートルの温泉発掘のため、「さく井」用やぐらを組み立てボーリングマシンで掘削作業中に発生した。掘削作業は、「一本のロッドによる掘削終了後、ボーリングマシン作業台上で接続器を外す→接続器を地上で次のロッドに取り付ける→接続器を取り付けたロッドをウインチで吊り下げ、前のロッドと接続する→運転者に合図してボーリングを開始する」という手順を繰り返していた。
当日の作業は、現場責任者と2人の作業員が従事し、責任者(被災者)は、高さ2メートルのところに設置してあるボーリングマシンのドラム上部の作業台でロッドの接続作業を担当していた。
午前10時頃、接続器を取り付けて吊り上げたロッドが振れて被災者の身体に当たったため、転倒した。
その時に、作業台にあった開口部に被災者の左足が入ったが、被災者からロッドの巻き上げの指示があったので運転者はウインチを巻き上げた。
そのため、被災者の左足がドラムと巻き上げワイヤーロープとの間に挟まれて切断され、出血多量のため死亡した。
原因
この災害は、深さ約30メートルの温泉発掘のため、「さく井」用やぐらを組み立てボーリングマシーンで掘削作業中に発生したものであるが、その原因としては、次のことが考えられる。1 作業の手順を誤ったこと
ボーリングの手順としては、「掘削に使用したロッド(親ロッドと言っている)を一旦巻き上げてボーリングマシンに固定してボーリングマシンを後退させ、継ぎ足しロッドを掘削孔へ挿入した後、ボーリングマシンを前進させ、「やぐら」の作業台(ボーリングマシンのところとは別)の上で親ロッドと継ぎ足しロッドを接続することになっていたのに、これによらなかったこと。
2 ウインチの操作者が被害者の声を「巻け」の声と思ったこと。
3 被害者が転倒したときに左足が入った開口部に手すり等がなかったこと。
対策
この災害は、ボーリング作業におけるロッドのつなぎの不十分なことと、従来の作業手順どおりの作業が行われたことにより発生した。[1] この作業の安全対策は、狭い場所での作業については、開口部など危険要因を排除する。
[2] 作業手順の変更時に、安全教育を実施し、全作業者に周知することが必要である。
[3] 回転部分のつなぎや回転時の危険性について、安全教育の実施と囲い等に対する安全措置が必要である。
[4] 緊急時の連絡・確認の合図方法を明確にしておく。
作業責任者は労働者に作業の方法についての十分な打ち合わせ、作業の危険性を指示することが大事である。
ボーリングマシン製造者は、作業台の用途について明記すること及び安全運転方法をユーザーに説明することが必要である。
厚生労働省