トラッククレーンで覆工板の積み込み作業中、クレーンが横転
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 移動式クレーン | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 荷等の積み過ぎ |
No.1083
発生状況
この災害は、トラッククレーンを用いて、積み込み作業を行っていたところ、クレーンが横転し、アウトリガーと欄干の間にはさまれたものである。1. 下水管渠布設工事において、災害発生当日までに、仕事は埋め戻した箇所の高さ調節と、汚水管埋設箇所の舗装工事を残すだけであった。
災害発生当日の作業員は、元請11名、下請(被災事業場)2名が現場に来ていた。
2. 当日の作業は、土砂運搬、転圧作業、舗装部分の切取り作業及び歩道部分のレンガ積み作業であった。
被災者は、コンクリートカッターの借り受けのため、トラッククレーンを自ら運転して、リース会社へ行った。
3. その後覆工板の移動を指示され、埋め戻しが済んでいない箇所を人や車が通るために橋付近に覆工板が3枚敷かれていたが、邪魔になったので、被災者は、覆工板の移動を一人で行うこととし、トラッククレーンを用いて作業を始めた。
4. トラッククレーンを橋の上に止め、ワイヤロープで玉掛けした後に、覆工板を吊り上げ、荷台に積み込もうと約90度旋回したところ、バランスが崩れ、トラッククレーンが操作している被災者側に転倒し、アウトリガーと橋の欄干との間に左大腿部を挟まれ、約11時間後に死亡したものである。
原因
この災害は、狭い橋の上にトラッククレーンを止め、10mmワイヤロープで玉掛けをした後に覆工板を吊り上げ、荷台に積み込もうと約90度旋回した時にアウトリガーを張り出していなかったため、トラッククレーンが被災者側に転倒して挟まれたものであり、災害原因としては次のようなことが考えられる。1. 被災者が、トラッククレーンが転倒した際に、橋の欄干とアウトリガーとの狭い間でクレーンの運転をしていた。
2. トラッククレーンが転倒した時、アウトリガーは最小張出しで、ジブの角度30度、ジブの長さ5.61mで、その時の定格荷重は、0.4トンであり、荷重を超えて使用していた。
3. トラッククレーンを用いて作業を行う場合において、運転方法、作業方法、転倒防止対策等を具体的に定めていなかった。
4. 被災者は、玉掛け作業の資格がないのに覆工板の玉掛けを行ったもので、トラッククレーン作業に伴う危険性の認識が低かった。
対策
この災害は、狭い橋の上にトラッククレーンを止め定格荷重を超えて覆工板を吊り上げ旋回を行っていて横転したものであるが、同種災害の再発防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 トラッククレーンによる作業計画の策定を行うこと。
2 トラッククレーンを用いて作業を行うときは、アウトリガーを最大限に張出すこと。
3 トラッククレーンを用いて作業を行うときは、そのクレーンの定格荷重をこえる荷重をかけて使用しないこと。
4 狭い橋の上等で、最大限に張出すことができない場合は、アウトリガーの張り出し幅に応じたクレーンの定格荷重の範囲内で作業を行うこと。
5 トラッククレーン(積載型)の場合、荷台に積載物がない場合には吊り上げ荷重が異なってくるので、安定度に基づいた空車時定格荷重の値によって作業すること。
なお、前方吊りは空車時定格荷重の25%以下となるので注意すること。
6 作業手順と役割分担の徹底を図ること。