アースオーガーにより掘削した孔に転落
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 開口部 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | 坑、ピットへ墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.1082
発生状況
この災害は、道路の法面防護工事においてアースオーガーで掘削した孔に転落したものである。道路の法面防護工事は、約100mにわたり、土留杭(H鋼を69本)を打設した後、岸壁側を掘削して杭の片側を露出させ、杭間に横矢板を敷き詰め、その後アンカー工事を行うものであった。
災害発生当日の作業予定としては、土留杭の打設作業であったが、作業順序として、土留杭をアースオーガーを使って順次削孔(直径0.7m、深さ約15m、削孔穴の間隔3m)し、そこへモルタルを地上から5mまで投入する。
その後、土留杭(H鋼)を挿入し埋め戻しをする手順であった。
当日、午前8時に現場で作業開始前のミーティングが行われ、午前中は2本の削孔を行うことになり、12時頃には、2本の削孔が終了したので、深さを確認するため、元請の担当者が測量機器を使用して計測していた。
一次下請けの作業者と被災者の二人は、その手伝いを行うことになり、一人はオーガーのスクリューにメジャーを沿わせ、被災者はスプレーで目印を付けていた。
元請の担当者が、計測を終えて付近を見ると、オーガーのスクリューのところにいた被災者の姿が見えないので、探したところ、約3m離れたところの掘削孔(深さ約15m)に転落していた。
原因
この災害は、道路の法面防護工事においてアースオーガーで掘削した孔に転落したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 作業指示が明確でなかったこと
この災害の直接の目撃者はいなかったが、災害発生直前の状況等から次のように推定される。
すなわち、被災者は、元請の担当者の測量の補助作業を行っていたが、スプレーでスクリューの所定の位置に目印をつけ終わってから、特段の作業指示もないのに近くの別の削孔穴の方に歩いて行き、地表面付近が崩れてすり鉢状になっていた直径0.7mの削孔穴から滑り落ちた。
2 転落防止措置がなされていなかったこと
アースオーガーで削孔した孔は、深く、しかも地表面近くは崩れやすい状況にあったのに、覆い、囲い等の転落防止措置がなされていなかった。
また、転落防止の具体的な方法について、元請け会社からも特段の指示もなかったし、元請けの現場パトロールでも危険箇所として指摘がなされていなかった。
対策
この災害は、道路の法面防護工事においてアースオーガーで掘削した孔に転落したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 転落防止のための措置を行なうこと
転落のおそれのある削孔穴については、削孔作業、測量、そしてモルタルが投入された時点から土留杭(H鋼)が挿入されるまでの間のたとえ短い時間であっても、必ず養生用のコンパネか鉄板による覆いを設けるか、囲いを設け、孔に転落しないような措置を行なう。
2 作業手順を明確にする
削孔穴については、開口の状態としておかれる時間が少なくなるような作業の手順を定め、その作業を確実に励行する。なお、関連作業者にもそのことを徹底する。
また、現場内の開口部、その他の危険な箇所について点検を励行し、災害防止のために必要な措置を行なうよう指示する。