半導体製造装置の故障修理中に感電
業種 | 電子機器用・通信機器用部品製造業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の電気設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.1062
発生状況
この災害は、4Mビットメモリー等の半導体を製造している工場で発生したものである。被災者の所属会社は、親会社の工場内でシリコンウエハのポリイミド工程、裏面処理工程等を行っており、当日はウエハの裏面処理工程のスパッタリング装置が故障したので、保全部門のグループの2名が修理を始めた。
修理は、電力増幅管、中間増幅管等の真空管の交換から始めたが機能が回復せず、次いで高周波電源内部の電圧状況を確認したところ、4ヶ所の検査用端子の電圧が異常な数値を示した。
午後2時半頃、休憩して、リーダーがスッパタリング装置のメンテナンス会社に故障について電話照会を行い、約1時間後に修理現場に戻ってみると、被災者がスパッタリング装置と電源ラックの間に意識を失って倒れていた。
被災者の状況は、右手第1指及び第2指から両膝(脛)周辺に電流が抜けた形跡があり、また、高周波電源装置の内部の電力増幅管の上部金属製キャップ部の下端にはゴム状の付着物と焼け焦げた跡があった。
原因
この災害は、4Mビットメモリー等の半導体を製造している工場で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 電源が投入されていたこと
リーダーは、休憩前に自ら高周波電源のスイッチを切断したが、被災者はリーダーがメンテナンス会社に電話中に電源スイッチを投入し、故障箇所の確認等の作業を行っていた。
2 感電防止のための保護具等が使用されていなかったこと
被災者の服装は、クリーンルームで使用するポリエステル製のツナギ服及び頭巾、ゴム製の静電靴で感電防止のための保護具、防具は使用されていなかった。
3 作業の手順を誤ったこと
スパッタリング装置の取扱説明書には、この装置は高電圧が発生するものであること、その保守点検にあたっては高圧電気に注意するよう説明がなされているが、その内容を再確認した上で作業に着手していなかった。
対策
この災害は、4Mビットメモリー等の半導体を製造している工場で発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 安全衛生管理体制の確立
会社の安全衛生管理体制を確立し、また、リーダーとして作業、設備等に関し十分な知識、経験を有する者を指名する。
2 作業指揮の徹底
高圧電気で充電されている場所等に接近しての作業には、作業指揮者を定め、作業の方法、順序を周知させ、作業を直接指揮すること等を行なわせる。
3 安全教育の徹底
作業者に対して、電撃危険、作業の安全な進め方、保護具、防具、安全帯等の使用方法等ついて十分な安全教育を行なう。
4 作業マニュアルの作成と徹底
作業の手順、夫々のポイントで配慮すべき安全措置等を定めた作業マニュアルを作成し、それに基づいて繰り返し教育訓練を行なう。
5 保護具、防具の整備等
充電部分に接近して作業を行なう場合等においては、短時間の作業であっても保護具、防具を整備する。