鋳物砂の入ったフレコンバッグが崩壊し下敷きとなる
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 荷姿の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の積み方、置き方の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.1047
発生状況
この災害は、熱処理した砂に樹脂をコーティングして鋳物用の鋳物砂を製造している会社で発生したものである。当日、被災者は、午前8時から作業を開始した。作業の内容は、工場内のラインで製造された製品を、一時保管のためフォークリフトを運転して工場の製品送出口から製品置場へ運搬し、3段に積み上げる作業であった。
午後2時30分頃から、被災者は、被災場所の付近に堆積していた砂を1人でスコップと一輪車を使用して回収作業を開始した。
この作業を始めて間もなく、そばに積んであった三段積みのフレコンバッグが崩れ落ち、被災者はその下敷きになり、堆積砂の回収作業に使用していた一輪車とスコップとの間に挟まれて倒れ、頸椎脱臼により窒息死した。
現場には、5個のフレコンバッグが散乱された状態になっていたが、そのうちの1つは災害直後、被災者の背中に載っていた。
原因
この災害は、熱処理した砂に樹脂をコーティングして鋳物用の鋳物砂を製造している会社で、フレコンバッグに詰められた製品の砂を一時製品置場へ運搬し積み上げる作業中に発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 フレコンバッグを積み上げていた状態が、床面に堆積していた砂の上で、不安定な状態にあった。
2 床面に堆積していた砂を回収する際、積み上げたあるフレコンバッグの下部にある砂をかき出すような作業を行なった。
3 倉庫内の一連の作業についてのマニュアルが無く、作業者の判断で作業を行なった。
4 作業指示命令体制が確立されておらず、適正な作業方法の指示がなされなかった。
5 安全教育・訓練が行なわれていなかった。
対策
この災害は、熱処理した砂に樹脂をコーティングして鋳物用の鋳物砂を製造している会社で、フレコンバッグにつめられた製品の砂を倉庫に運搬し、一次保管する作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 安全点検の実施
「何故、砂を除去せずにその上に荷を積み上げたのか」等を徹底的に分析、検討するとともに、安全点検を実施する。
2 不安全な作業方法の排除
「床面上の砂の回収だけでなく、何故、荷の下面の砂まで回収しようとしたのか」等を検討し、安全な作業方法を徹底する。
3 作業マニュアルの策定
異常状態の修復作業、設備・機器の修理作業等非定常的な作業についても作業マニュアルを策定する。
4 作業指揮命令体制の確立
作業の開始前には、作業内容のみならず、作業方法をも含めた指揮命令を行なう。
そのための体制の確立を行なう。
5 安全教育・訓練の徹底
作業者については、平素から計画的な教育・訓練を実施しておく。