アスファルトプラントの停止していたトロリーホッパが動いてはさまれる
業種 | 石油製品・石炭製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | コンベヤー | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 故障未修理 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.1046
発生状況
この災害は、アスファルトプラントを使用して道路舗装資材の製造を行なっている工場の骨材サイロで発生したものである。地上で受入れた骨材は、受入れホッパー→ベルトコンベア→骨材サイロの頂頭部→トリッパーベルコン→トリッパーベルコンのトロリーホッパ→サイロの順で処理される。
当日の午後5時前、被災者は、通常の作業が終了し、アスファルトプラントの内部に残った骨材を骨材サイロに戻す作業を開始したが、トロリーホッパが途中で停止した。
そこで、確認したところ、トロリーホッパモーターとトロリーホッパの車輪を結ぶチェーンが外れていたので、チェーンを掛け直し、再度動力盤のスイッチを投入したが、またチェーンが外れた。
二人で再度、確認したところ、トロリーホッパのモーターの変速機シャフトが折れていたので、このモーターを取り外してトロリーホッパを止め、ダンプホッパに残っていた砕石は別のサイロ2基に投下することにした。
午後6時40分頃、工場の製造担当者が、ベルトコンベア及びトリッパーベルコンを稼動させるため、スイッチを入れたが、2〜3分後にトリッパーベルコンが非常停止したので担当者はその状況を確認するため、骨材サイロの頭頂部へ急いで戻ったところ、被災者が通路に横たわっていた。
原因
この災害は、故障したトロリーホッパのモーターを取り外したため、モーターブレーキにより停止していたトロリーホッパが、トリッパーベルコンの稼動とともに移動し、トロリーホッパとコンベアの支柱にはさまれたものであるが、この災害の原因としては次のことが考えられる。1 トロリーホッパが移動することを承知していなかったこと。
故障したモーターを取外したため、ブレーキ効果が無くなり、トリッパーベルコンの稼動により移動した。
2 ベルトコンベア等が動いているにもかかわらず危険個所に立ち入ったこと。
3 非常停止装置の操作が遅れたこと。
危険を感じて非常停止装置の引綱を引いたが認められたが、結果的にはこの操作が間に合わなかった。
4 連携作業において、危険箇所(ベルトコンベア内)に立入らぬように指示していないこと。
5 トリッパーベルコンのモーター修理についての作業マニュアルがなかったこと。
対策
この災害は、道路舗装資材の製造を行なっている工場で、故障した機械設備の修理、運転再開後に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 危険箇所への立入り禁止
トリッパーベルコンの稼動時には、骨材サイロ頂頭部のトリッパーベルコンの設置されている箇所への立入りを禁止すること。
2 教育訓練の徹底
非定常の作業についても、危険が予測されるものについて教育訓練を行なうこと。
3 機械設備の修理者の特定
機械設備(特に大型の設備等)の修理は、機械設備に精通した者に行なわせること。
4 指揮命令系統の確立と指示内容の明確化
指示は、具体的に、明確に指示することが重要である。
5 作業マニュアルの作成と徹底
予測される非定常作業については、作業マニュアルを作成し、徹底しておくこと。
6 非常停止装置の取り扱いの徹底
非常事態における引綱の効果、取り扱い要領について徹底しておくこと。