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労働災害事例

フォークリフトの積荷の荷崩れを修復中、マストとヘッドガードとの間にはさまれる

フォークリフトの積荷の荷崩れを修復中、マストとヘッドガードとの間にはさまれる
業種 印刷業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) フォークリフト
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 通路が確保されていない
発生要因(人) 周縁的動作
発生要因(管理) 機械装置等を運転したまま離れる

No.1036

発生状況

 この災害は、フォークリフトの積荷の荷崩れを直すため、運転席から身を前方にのり出して、荷役操作レバーが体の一部に接触して、マストとヘッドガードとの間にはさまれ死亡したものである。
 災害発生当日、被災者は、下請け業者の所に製品の受取りに行き、帰社したのは、午後4時20分頃で、2階の事務所に戻って係長から次に運ぶ製品についての指示を受け倉庫に行った。
 この時事務所にいたのは、係長と出向社員2名の計3名で、倉庫には被害者が一人で行った。
 しばらくして、他の一人が、配送する商品を確認するために倉庫に行き、フォークリフト上で口から血を流し倒れている被害者を発見した。その時には、被害者の意識はなく、発見者はすぐに事務所に戻り、救急車を手配し、被害者を病院に運んだが、同日午後6時頃、頸部、胸部圧迫により死亡したものである。

原因

この災害は、納入製品をユーザーへ配送するために、倉庫からトラックまでフォークリフトを使用して運搬中に、積荷の荷崩れが生じ、その荷崩れを直す作業中に発生したものであるが、その原因としては次のことが考えられる。
1 直接的な原因
 [1] フォークリフトの運転席を離れる時は、フォークを最低下降位置に下げ、さらに、原動機を止め(キースイッチをOFF状態にする)、ブレーキを確実にかける必要があるにもかかわらず、そのいづれも行わずに運転席を離れたこと。
[2] この会社においてはフォークリフトを使用する作業が日常的にあるにもかかわらず、フォークリフト運転の有資格者が1名のみであったため、有資格者が不在の時に無資格者である被災者が運転しなければならなかったこと
2 間接的な原因
 [1] フォークリフトの原動機キーが常時、付けっ放し状態であり、運転の資格のない者が使用できる状態にあったこと。
[2] 倉庫内の照明が暗く、また、通路が狭い等フォークリフトを使用して安全に荷役運搬作業ができる作業環境ではなかったこと。
[3] パレット上の積荷が、細長いロールで、しかも、積荷同士の間隔が狭く、運搬中に荷崩れが生じ易い不安定な状態となっていたこと。

対策

この災害は、納入製品をユーザーへ配送するために、倉庫からトラックまでフォークリフトを使用して運搬中に、積荷の荷崩れが生じ、その荷崩れを直す作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。
(1) 安全管理の徹底
 イ 危険有害な業務に必要な有資格者の数を確保するとともに、無資格者を就業させないように安全管理を徹底すること。
ロ 危険有害業務に係る有資格者が不在の時には、作業を行わないこと。
(2) 作業計画の作成
 荷役運搬作業については、安全な作業を行うための作業計画を作成すること。
(3) 荷役運搬機械の管理体制の整備
 荷役運搬機械の管理責任者を定め、その者に車両のキーを管理させるとともに、点検・整備の管理を行わせること。
(4) 作業環境の点検
 フォークリフトの運行経路を定期的に点検し、フォークリフトの運行に支障のある凹凸箇所等の修復を行うこと。
 倉庫内の作業に支障のないよう必要な照度を確保すること。
(5) 荷崩れ防止
 荷の高さ及び大きさ、形状により、運搬中に荷崩れのおそれがある場合には、荷崩れ防止のため、収縮性プラスチックフイルムでパレットの荷を覆う措置等を行うこと。