ボーリングマシン搬入路を仮設作業中、路肩より斜面に転落
| 業種 | その他の土木工事業 | |||||
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| 事業場規模 | − | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
| 建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
| 災害の種類 | パワーショベル等 | |||||
| 被害者数 |
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| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.1020
発生状況
本災害は、地すべり対策工事に先立つ地質調査において、調査地点にボーリングマシンを搬入する仮設道路をドラグ・ショベルを使用して開設中に、ドラグ・ショベルが路肩より斜面に転落し、運転していた被災者が下敷きになり死亡したものである。当該工事は、地すべり対策工事に先立って行う地質調査であり、調査地点が山中にあるため、ボーリングマシンを搬入するにあたり、既設の山道から分岐してボーリングポイントに至る仮設道路を開設する工事であった。
被災者が開設作業を行っていた仮設道路は、幅員約1.5m、延長約30m、斜度25度のものであり、谷側の斜面の傾斜は約40度となっていた。なお、連日の雨で粘土質の地盤が弛み、滑りやすくなっていた。
災害発生当日の午前中、被災者他の労働者で仮設道路の開設の準備作業を開始した。作業は、障害となっている杉の根をチェーンソーで切断するというものであった。
この作業終了後、被災者は一人でドラグ・ショベルを運転し、既設の山道の拡幅作業を行い午前中の作業を終了した。ドラグ・ショベルは機体重量1t、機体幅は1mであり、ゴム製のクローラを装着していた。
昼食後、被災者は一人でドラグ・ショベルにより、仮設道路を開設する作業を行っていた。
午後5時頃、他の作業現場にいた作業者が、一緒に下山しようと被災者を探したところ、東側の斜面で転落したドラグ・ショベルに被災者が下敷きになっているところを発見した。
原因
[1] 路肩かつ傾斜地であるところでドラグ・ショベルを用いて作業を行っていたが、ドラグ・ショベルの転倒又は転落により作業者に危険を及ぼすおそれがあったのに、必要な幅員を保持すること等の措置を講じず、誘導者を配置していなかったこと。[2] 当該地点に至る搬入路について、搬入路自体の傾斜が大きく、路肩の外側が急傾斜地と接するルートを選択したこと。
[3] 傾斜地であったが、履帯について、鉄クローラに比べ安定性(特に横方向)の劣るゴムクローラーを使用したこと。
[4] キャビンのないドラグ・ショベルであったため、運転者が車外に放り出されたこと。
[5] 連日の雨で粘土質の地盤が弛み、滑りやすくなっていたこと。
対策
[1] 車両系建設機械の運行経路及び作業場所について、路肩又は急傾斜地とならないよう十分配慮の上、作業計画を策定すること。[2] 路肩及び傾斜地で車両系建設機械を用いて作業を行う場合において、当該車両系建設機械の転倒又は転落により作業者に危険を及ぼすおそれがあるときは、必要な幅員を保持すること等の措置を講ずるか、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させること。
[3] 車両系建設機械の履帯について、傾斜地においては安定性の高い鉄クローラを使用すること。
[4] 運転者が車外に放り出され、車両系建設機械の下敷きになって死亡することを防止するため、地形及び地質等の状況に応じキャビン付きの車両系建設機械を使用すること。
厚生労働省