高所で足場の解体作業中、手に持っていた足場部材が高圧引込線に触れ、感電して地上に落下した
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護措置・安全装置の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 防護・安全装置を無効にする |
No.101652
発生状況
看板撤去工事において、被災者は地上5.5mの足場で、足場の解体を行っていた。被災者が左手に持っていた足場部材(長さ約1.8m)の鋼管が、高圧引込線(交流6,600V、三相3線式)に接触した。「バン」という音とともに火花が散り、その瞬間、足場からアスファルト敷きの地面に頭から墜落した。墜落後、息はあったが意識はなく、救急車で病院に運ばれたが死亡した。 高圧引込線のうち、開閉器と繋がる一次側の電線に巻かれていたビニールテープが剥がれていたことから、足場部材が接触したものと推定される。左手足等に火傷痕があり、衣服の左腕や左脇には焦げたような跡があり、穴が開いていた。 被災者は帯電防止加工等の施されていない普通作業着、安全靴、ヘルメットを着用していた。安全帯は着用していたが、災害発生時には使用していなかった。その他、絶縁用保護具等も着用していなかった。 |
原因
・ | 架空電線の充電電路に近接する場所で、工作物の解体作業等を行うにあたり、感電の危険を防止するための措置を講じていなかったこと |
・ | 看板撤去および足場の解体作業に係る作業手順書を作成しておらず、作業手順書に基づき、安全指導・教育を実施していなかったこと |
・ | 現場で使用する設備や作業方法から生じるリスクの洗い出し・見積もり・提言措置の内容を検討していなかったため、安全に作業を行うために必要な具体的な指示が行われていなかったこと |
・ | 高さが5m以上の構造を持つ足場の解体作業を行うにあたり、足場の組み立て等作業主任者が選任されておらず、保護具の使用状況の監視等が適切にされていなかったこと |
・ | 高さが2m以上の構造を持つ足場の解体作業を行うにあたり、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させていなかったこと |
・ | 元方事業者において、作業場所の巡視を行っていなかったことから、関係請負人の労働者が安全に作業を行うために必要な具体的な指示が行われていなかったこと |
対策
・ | 架空電線の充電電路に近接する場所で、工作物の解体作業等を行う場合は、充電電路に絶縁用防護具を装着する等、感電の危険を防止するための措置を講じること |
・ | 看板撤去および足場の解体作業に係る作業手順書を作成し、作業手順書に基づき、安全指導・教育を実施すること |
・ | 現場で使用する設備や作業方法から生じるリスクアセスメントを実施し、具体的なリスク低減措置を定め、対策を講じること |
・ | 高さが5m以上の構造を持つ足場の解体作業を行う場合は、足場の組み立て等作業主任者を選任すること |
・ | 高さが2m以上の構造を持つ足場の解体作業を行う場合は、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させること |
・ | 元方事業者は毎作業日に少なくとも1回は作業場所の巡視を行い、関係請負人の労働者が安全に作業を行うために必要な具体的な指示を行うこと |