木材加工所でかんな盤のローラーの清掃中に衣服が巻き込まれ、胸部圧迫骨折等の重症を負った
業種 | 木材・木製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | かんな盤 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 不適当な機械、装置の使用 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 動いている機械、装置等に接近し又は触れる |
No.101651
発生状況
住宅用集成材(柱、梁)の加工所で、4軸モルダー(自動送給木工用4面かんな盤:木材を自動送りで左右上下を加工できるかんな盤)を使い、三人で木材加工中だった。モルダーの下部ローラーに木くずが付着すると、木材に凹み等が発生するため、小さな木くずは圧縮エアーで吹き飛ばし、大きな木くずは金属性のヘラで取り除くことが常習化していた。 被災者は、機械上部から切削刃がある機械内部に立ち入り、下部ローラーを回転させながら木くずをヘラで取り除いていた。機械内部では被災者の背面にある上部ローラーも回転していたため、衣服の一部が巻き込まれ、上半身(胸部や頸部)が衣服で強く圧迫されて負傷した。3ヵ月以上経過しても復帰のめどは立たず、長期休職となった。 木くずの清掃作業時には加工ラインが停止するため、他の作業員二人は監視や立ち合いを行うことなく、別の場所で補助作業を行っていた。有資格者は専任されていたが、災害発生現場は見えない場所で別の作業をしていた。 |
原因
・ | 4軸モルダーの下部ローラーの清掃作業を行うにあたり、上部ローラーを含めた機械全体の運転停止を行っていなかったこと |
・ | 木材加工用機械作業主任者の直接指揮が行われていなかったこと |
・ | モルダーのローラー部の清掃作業を行う際の安全な作業手順を書面化していなかったこと |
・ | 機械清掃時の運転停止に係る社内における体系的な教育を実施していなかったこと |
・ | 労働災害防止に係る各種取り組み(リスクアセスメント、教育、巡視、ヒヤリハット事例収集、朝礼での危険予知活動等)や管理体制の整備が十分に行われていなかったこと |
対策
・ | 機械の回転部分や刃部等、身体に危険を及ぼすおそれのある箇所について、清掃・給油・検査、修理、調整等の非定常作業を行う際は、駆動部分の運転を停止すること |
・ | 機械の運転停止は、原則として機械の主電源を遮断する等、不意に駆動することがないようにすること |
・ | 機械の清掃作業において、特に機械内部に立ち入る必要がある場合は、必ず木材加工用機械作業主任者の直接指揮の下で行うこと。また、監視者を置く場合は、非常停止スイッチを容易に押すことができる配置にすること |
・ | 木材加工用機械を用いて行う定常作業、非定常作業に係る作業手順を書面化し、手順書の周知・教育を繰り返し行うこと |
・ | 社内で安全管理を行う者を明確化し、事業者および責任者の下、各工程の作業者が自主的に労働災害防止活動(リスクアセスメント、教育、巡視、ヒヤリハット事例収集、朝礼での危険予知活動等)を定期的に実施するよう取り組むこと |