高速道路の耐震補強工事において、掘削溝内での作業中に法面が崩壊して、作業員2名が土砂に埋もれて死亡した
業種 | 橋梁建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 地山、岩石 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101647
発生状況
高速道路に架かる跨線橋の耐震補強工事として、橋台付け根部分をドラグ・ショベルで垂直に掘削(縦5.3m×横1.5m×深さ4.1m)した。次に、掘削溝内に土止め支保工を設けるため、クレーン機能付きドラグ・ショベルで軽量鋼矢板を吊って運んだ。3枚目の軽量鋼矢板から地面に垂直に打ち込めなくなり、作業員2名が軽量鋼矢板の介添えをするために掘削溝内に立ち入った。8枚目の軽量鋼矢板を打ち込んでいると、掘削溝の西側法面が突然崩落し、掘削溝内で作業中の2名が土砂の下敷きになった。発見時、2名はヘルメットのみが見える状態で、身体は完全に土砂に埋もれて見えなかった。被災者2名は、病院に搬送されたが死亡した。 |
原因
・ | あらかじめ作成した作業計画書のとおり作業を行わず、地山が崩壊するおそれがある高さまで、90度の掘削勾配で一気に掘削したこと。土止め支保工の設置を始める前に、地山の点検を行わず、地山崩落防止措置も講じず、溝内に労働者を立ち入らせたこと |
・ | ドラグ・ショベルを用いて軽量鋼矢板の打ち込み作業を行うときに、ドラグ・ショベルのバケットを上昇・下降して矢板押さえを打撃したことにより、掘削面に振動を加えたこと | ・ | 本工事における土止めの施工方法を理解している者がおらず、作業手順書を作成しないまま作業を行ったこと |
・ | 土止め支保工に係る軽量鋼矢板の設置に際して、土止め支保工作業主任者が作業を直接指揮していなかったこと |
・ | 掘削箇所が砂質土であったにもかかわらず、安全ミーティング、始業前点検、危険予知活動において、土砂崩壊の危険性に着目していなかったこと |
・ | 安全衛生指示書において、適切な注意喚起および安全対策に関する指示を行っていなかったこと |
対策
・ | あらかじめ作成した作業計画書に基づき作業を行い、崩壊のおそれのある掘削溝内で作業を行う場合は、土止め支保工を設けた後に労働者を溝内に立ち入らせること |
・ | ドラグ・ショベルを用いて軽量鋼矢板の打ち込み作業を行う場合は、ドラグ・ショベルのバケットを寝かせた状態で軽量鋼矢板に押し当て、打ち込みを行うこと |
・ | 土止め支保工を施工する場合は、組立図およびカタログだけでなく、作業手順書を作成し、関係労働者に周知したうえで作業を行うこと |
・ | 土止め支保工を組み立てる場合は、土止め支保工作業主任者に作業を直接指揮させること |