故障トラックをレッカー車に積み込む際に、トラックが動き出し、トラックとレッカー車の間に挟まれて死亡した
業種 | 道路貨物運送業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業方法の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 職場的原因 | |||||
発生要因(管理) | 安全措置の不履行 |
No.101641
発生状況
被災者は単独で、クラッチが故障したトラックをレッカー車に載せて移動させる作業を行っていた。トラックの前輪の下に角材を挟み込んでトラック前部を浮かせ、トラック下部にレッカー車のけん引装置を固定しようとしたところ、トラックが動き出し、トラック前部とレッカー車後部に挟まれた。病院に救急搬送されたが、頭部外傷により死亡した。 被災者の社内標準では、レッカー作業中はレッカー車だけではなく、けん引対象の車両にもサイドブレーキと輪留めをかけることとされていた。この災害発生時には、レッカー車には輪留めをかけていたが、トラックには輪留めもサイドブレーキもかけていなかった。 |
原因
・ | レッカー車のけん引対象であるトラックに、逸走を防止するためのサイドブレーキや輪留めを使用していなかったこと |
・ | けん引装置をリモコン操作するときに、レッカー車とトラックの間に頭部を入れていたこと |
・ | 作業場所の道路の凹凸が激しく、トラックの前輪の下に挟んだ“りん木”が不安定な状態になっていたこと |
・ | 道路が狭く、他社の労働者の補助(進入車両の誘導)を得ながら、被災者が単独で作業を行っていたこと |
・ | 被災者が作業標準のとおりに作業していなかったこと |
・ | 作業標準マニュアルに作業の危険性や対策は記載されていたが、災害リスクを網羅的に洗い出すことはされておらず、災害発生の確率や重篤度なども検討されていなかったこと |
対策
・ | レッカー車とけん引対象の車両を連結する作業を行う際、けん引対象の車両にも確実に逸走防止措置を講じること |
・ | レッカー車とけん引対象の車両の間に、身体を入れてけん引装置を操作しないこと |
・ | 作業方法を決定するときに、地形の一要素として道路の幅員や勾配だけではなく、路面状況も考慮すること |
・ | 作業標準および労働者への教育により、けん引対象の車両の逸走防止措置を労働者に徹底させること |
・ | 作業場所が狭い等の理由により、誘導者を要する場合は、作業を複数の労働者で行うことを徹底すること |
・ | 新人以外の労働者に対しても作業標準に係る教育の機会を設け、作業標準の確実な定着を図ること |
・ | 作業や機械に係るリスクアセスメントを実施する体制づくりを進めること。その際、労働者からヒヤリハット事案を収集して活用するようにも努めること |