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労働災害事例

焼却施設のろ過装置室の塩素貯槽タンクに、次亜塩素ナトリウムの補充と誤って塩酸を投入し、6人が塩素中毒を起こした

焼却施設のろ過装置室の塩素貯槽タンクに、次亜塩素ナトリウムの補充と誤って塩酸を投入し、6人が塩素中毒を起こした
業種 産業廃棄物処理業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:0人
不休者数:6人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業方法の欠陥
発生要因(人) 職場的原因
発生要因(管理) 危険な状態を作る

No.101639

発生状況

 焼却施設内にある、ろ過装置室の塩素貯槽タンクに、次亜塩素ナトリウムを補充する作業を2名で開始した。段ボール梱包が酷似していたため、誤って塩酸を直接タンクに注ぎ入れた。その結果、黄緑色の塩素ガスが発生し、刺激臭が充満した。現場には換気設備がなく、被災者は塩素ガス用の呼吸用保護具を着用していなかった。最も作業場に近い2名がのどの痛みを訴え、近くにいた作業員1名と共に救急車で病院に搬送された。
 その後、ガス発生が収まったことを確認のうえ、別の作業員2名が送気マスクを着用し、タンクに水を投入して希釈および抜き取り作業を開始した。しかし、作業終了後に2名がのどの痛み等の体調不良を訴えたため、後から作業に加わった1名と共に、3名を救急車で病院に搬送した。
 6名とも塩素中毒の診断を受けた。

原因

 塩酸と次亜塩素酸ナトリウムの外箱の形状が同じで、薬品の識別がしづらい状態であったこと。薬品の保管場所が近く、表示もなかったこと
 次亜塩素酸ナトリウムの補充作業で、不適切な呼吸用保護具を着用させたこと。有害物除去時に、送気マスクの電動送風機を塩素ガスの発生場所よりも風下に設置したこと
 業務経験が3か月程度しかなく、作業に慣れていなかったこと。業務体制の変更や研修・ 教育を十分に行っていない状況だったこと
 特定化学物質作業主任者を選任していなかったこと

対策

 作業に使用する製剤は、容器の見た目が同じにならないよう、種類ごとに色分けおよび表示を追加すること
 有害物除去時に使用する送気マスクの電動送風機は、汚染された空気が流人する場所に置かないこと。また、電源を遮断されないよう、送気マスクを使用中である旨を表示すること
 使用する化学物質の危険性または有害性等に関する調査等(リスクアセスメント)を実施すること。関係労働者に対して安全衛生教育を実施し、周知すること
 特定化学物質および四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した者から、特定化学物質作業主任者を選任すること